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» 2019年12月03日 07時00分 公開

防災:下流住民の避難を容易に、ため池の状況を“見える化”するシステムを開発

応用地質は、ため池の決壊による人的被害を防ぐことを目的に、自治体・土地改良向けの「ため池防災システム」を開発した。

[BUILT]

 応用地質は2019年10月30日、低価格・双方向通信型ハザードマッピングセンサーを用いた自治体・土地改良向け「ため池防災システム」の提供を開始した。

直近10年間におけるため池の被害の70%が豪雨を要因

 灌漑(かんがい)への対処として築造された「ため池」は、西日本を中心に全国に約17万カ所存在しており、農業用水だけでなく、洪水調整や親水空間の創出、多様な生物の生育の場として役立っている。

 だが、近年は農業従事者の高齢化や権利者の交代による管理体制の弱体化などから、設備や堤体が老朽化し、災害時における決壊などのリスクが高まっている。農林水産省の調査によると、直近10年間におけるため池での被害の70%が豪雨を要因としているという。

 国は、決壊した場合の浸水区域に家屋や公共施設などが存在し、人的被害を与えることが想定される全国6万3722箇所のため池を「重点防災ため池」として指定した。

ハザードマッピングシステムの管理画面イメージ(傾斜センサーの例) 出典:応用地質

 応用地質はこういった状況を踏まえ、防災・減災分野の知見とIoTセンシング技術を生かし、ため池防災システムを開発した。ため池防災システムは、同社が開発した低価格・双方向通信型ハザードマッピングセンサーや監視カメラで、ため池の氾濫(はんらん)に関する情報をリアルタイムに発信し、自治体の防災担当者と連携した上で、下流域の住民の速やかな避難活動を支援する。

 ハザードマッピングセンサーは、冠水センサー「冠すいっち」や簡易傾斜計「クリノポール」を組み合わせ、広域なエリアに多数設置することで、面的な水防情報体制を構築する。

冠すいっち(左)とその使用イメージ 出典:応用地質

 冠すいっちは、堤体の天端および表法上に設置し、標準で2深度、最大3深度で管理水位を設定する。センサーが冠水すると電源が作動し、即座にクラウド経由で、管理者にアラートを発信するとともに、危険が迫っているため池をスマートフォンやタブレット、PCのマップ上に表示する。

クリノポール(左)とその使用イメージ 出典:応用地質

 クリノポールは、堤体の裏法などに配置し、ため池の堤体の変動を監視する。傾斜を検知すると、電源が作動し、クラウドを経由してアラートを発信し、PCなどのマップ上に状況を映し出す。

 なお、センサー自体の費用は無料で、ユーザーは、月々の通信費として1台につき1カ月1万円払えば利用できる仕組みだ。

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