国土交通省は、「河川・水防災技術分野」など5分野で、所定の課題解決に向けた先端技術の研究開発を助成する技術公募を開始した。応募は2019年1月11日まで受け付けている。
国土交通省は2018年12月3日、2019年度の河川砂防技術を対象にした研究開発の技術公募を開始した。「河川・水防災技術」など、5分野において、所定の課題解決に向けた先端技術の研究を助成する。応募受付は2019年1月11日まで。
公募する分野は、「河川・水防災技術」以外に、「砂防技術」「海岸技術」「地域課題(河川、砂防、河川生態)」「流域計画・流域管理課題」。対象は、大学などの研究機関、研究を主な事業目的とする法人、日本に登記されている民間企業に所属する研究者、それらの共同研究体。さらに、地域課題、流域計画・流域管理課題の2分野では、各地方整備局と共同での研究開発を求める。
2019年度の新規課題の選考スケジュールは、2019年1月11日まで公募を行い、同年3月までに審査。4月には技術研究開発が始まり、並行して契約手続きを行う。技術研究開発は翌2020年3月まで続けられる。これが基本的な流れで、3カ年で継続する新規テーマについては同様の手続きを2021年度まで毎年度行う。2年目、3年目の研究テーマでは、それぞれ、各年度で委託契約の手続きと研究開発、中間評価を完了させ、最終的に2022年度7月までに事後評価の審査を終わらせる予定だ。
研究課題は、分野によって国交省側が指定する課題指定型と研究者側の考えを受けた課題提案型の2パターンを設定。
「河川・水防災技術分野」は課題指定型で、2019年度の新規公募テーマは、新規技術を活用した中小河川堤防・河道点検又は分析・評価技術の開発。公募の背景には、都道府県が管理する中小河川は、年1回の定期点検は実施されているものの、人員不足や財政的な課題から、点検結果の総合評価に時間を要していることに加え、横断測量や樹木調査などによる流下能力の評価も十分に行われていない場合がある。
現状でも、除草機械搭載レーザー測量やUAVによる測量・計測技術は進んでいるが、10cm(センチ)以上の堤防変状については、検出率が5〜8割にとどまり、取得した航空機レーザー測量データについて、手動でのノイズ処理が必要とされることなどがある。
具体的には、3次元地形データ(点群密度100点〜4万点/m2程度)や画像データを駆使し、堤防の状態把握を自動化する技術を開発する。データ取得には、自動車やドローンなどに搭載したレーザー測量機器などを想定している。土堤で除草後に計測したデータで、9割以上の状態把握が可能になることを目標としている。最長3年間で、合計3000万円以内で助成する。
また、この分野では中小河川を対象に、衛星や航空機、ドローンによるリモートセンシング技術を活用した河道地形や流下能力などの状態を推定する技術も募る。
「砂防技術分野」は課題指定型。公募テーマは、2018年7月豪雨で人的被害が発生した全か所で、発災前に警戒避難情報が発表済みであったにもかかわらず、避難行動に結び付かなかったことを受け、土砂災害における空振りの少ない警戒避難情報の開発に関する研究を設定。
土砂災害の発生時期の予測について、地域特性などを踏まえた空振りのない新たな警戒避難情報を開発する。最長3年間、助成金は合計5000万円以内。
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