建機に搭載して遠隔操作が可能になるカナモトの双腕双脚ロボット「KanaRobo」は、災害時の危険エリアでの復旧作業以外に、平常時の工事現場でも適用することで、省人化や省力化につながることが期待されている。
国土交通省 関東地方整備局が主催した「第14期 第11回出展技術発表会」が2019年10月3〜4日の両日、千葉・松戸市の関東技術事務所 建設技術展示館で開催された。2日目のセミナーから、カナモト・清水亮氏が人型ロボット「KanaRobo」の開発経緯とスペックを解説したプレゼンを取り上げる。
近年の土木分野では、全国の社会インフラで進行する老朽化を筆頭に、地震や風水害などの災害リスクの高まり、少子高齢化などを背景に、維持管理や災害対応を支えるロボット技術の早期実用化が求められている。
カナモトでは、こうしたニーズに応えるべく、建機の遠隔操作を可能にするロボット「KanaRobo」を開発し、これまでに災害復旧の現場で多数導入されてきた。最近では、通常の造成工事で、急勾配の登坂にも活用されている他、2019年8月に噴火した浅間山でも適用が決まっている。
KanaRoboの初期コンセプトは、危険な現場で人の代わりに作業を行うことが可能で、ラジコンのように手間がかからず、使いやすく、安価で高性能なロボットだった。コンセプトを実現するための条件として、
を設定した。
そのためKanaRoboは、バージョンアップのたびにサーボモーターの強化やシンプル化によって省電力と軽量化を図り、デザインも含めたブラッシュアップを重ねること、これまでに4世代を経ている。もともと「DOKA ROBO(ドカロボ)」という名称だった初号機は、双腕双脚の古いアニメーションに登場するロボットを彷彿(ほうふつ)とさせる人型ロボットで、続く2号機は各メーカーのキャビンに搭載できるように腹部を細長い部材から成るトラス状とした。
現名称へと改めた3号機では、その時点で用途がほとんどバックホウだったことを考慮し、特化するため機能を厳選して、10キロの上半身と8キロの下半身に分割して持ち運べ、特別な器具を使用しなくても組み立てられる仕様とした。最新の4号機は、サーボモーターの数を減らし、価格を抑えた普及モデルとなっている。現行機は4号機がメインで、3号機はサブとして運用している。
清水氏は、「メーカーを限定していないため、国内で運用されているバックホウのほぼ全てをカバー。3号機には標準でサブモータを26基、HD画質対応のカメラは最大で4台まで搭載可能だ。通信距離は、おおよそ500〜600メートル離れても届く」と説明。
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