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» 2019年09月20日 06時00分 公開

A-Style フォーラム:感性価値に重点を置く独自のブランディング手法、工務店の常識を変える富裕層の顧客の増やし方 (2/3)

[遠藤和宏,BUILT]

基本価値を高水準で維持することは必須

 ブランディングの一環として、住宅の耐震性能を上げるために、制震ダンパーの開発に協力したことにも言及した。

阿部建設が制震ダンパーの開発に協力した経緯

 阿部氏は、「2004年に新潟中越地震が起きた後に、ハウスメーカーの社員から、このレベルの地震でも建物の振動を1ミリまで抑え、プラスターボード製のクロスにヒビが入らないことを目的に制震ダンパーの開発を進めていると聞き、衝撃を受けた。当社が建築する木造住宅は27センチ揺れるため、その差がショックだったため、住宅の耐震性能について改めて取り組んだ」と振り返った。

 続けて、「そういった背景もあり、耐震等級3の木造住宅の建築も推進したが、どれだけ強化しても、大きく揺れることが判明し、住友理工の木造住宅用制震システム“TRCダンパー”の開発に協力した。このダンパーは、2008年の段階で建築する建物全棟に実装している」と補足した。

2008年にメンテナンスサービス「香りの会」を立ち上げ

 2008年に立ち上げた有料メンテナンスサービス「香りの会」に関しては、「会費は年間6000円で、住宅の状態確認や業者が修理に訪問する時の交通費などを無料にしている。現在、住宅を注文する施主の9割が入会している。このサービスを構築したことで、24時間365日の電話対応などを整備することができ、顧客満足度を高めることを実現した」(阿部氏)。

阿部建設が考える工務店の基本価値

 阿部建設が基本価値として備えているBELSやZEHといった認証やアフターサービスについて阿部氏は、「耐震、耐風、劣化対策などの等級を最高まで上げることやBELSとZEH builderの認証を取得すること、地産地消の自然素材とリサイクル可能な部材を活用することで、当社のイメージを高め、差別化を図ってきた。だが、現在こういった取り組みはどの工務店でも行える時代になり、受注につながる長所ではなくなった。逆に言えば、こういった基本価値を今後高いレベルで維持できない企業は市場で淘汰される」と警鐘を鳴らした。

 さらに、「基本価値を高水準で保つために、構造設計や外皮計算などを代行する多様な専門業者と手を組み、自社内の限られた人材で解決しようとしないことが大事だ。当社ではこのような業務の大半を外注化すべきだ」と助言した。

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