国土交通省の2018年度の調査によれば、ICT施工は従来の工事に比べ、起工測量から電子納品までの延べ作業時間を、土工では約3割、舗装工と浚渫(しゅんせつ)工(河川)では約4割縮減している。同年度のICT活用工事の公告件数に占める実施件数の割合は、国が57%、地方公共団体が22%となっており、都道府県や政令市でのICTの利用が停滞しているという。
今後は、現在ICTが適用されていない維持修繕工事などでICT対象を増やししていく上、地方公共団体のICT施工の活用を後押しする。
コンクリート工の全体最適の導入では、プレキャストを例に挙げた。プレキャストは、現場打ちと比較して、約2〜5倍の効率性があるが、2018年度のセメント量の内プレキャストに使われたセメントが14%に止まったことを明かした。対策として、ハーフプレキャストやサイトプレキャスト、大型化などの対策で使用を促す。
工事稼働件数の施工時期の平準化では、人材・機材の運用にメリットを生むが、2018年度の平準化率(年度の平均と4〜6月期の平均稼働状況の比率)は、国が0.85%、都道府県が0.75%、市町村が0.55%で、特に小規模の自治体で平準化が前進していないという。そういった状況を踏まえて、地方公共団体の平準化率の向上をサポートしていく。
BIM/CIMの利活用は、フロントローディングの実現による手戻り防止や施工計画の高度化といった利点があるが、2018年度は設計業務で147件、工事で65件、維持修繕や検討を含む全体の件数は1万8000件で、全直轄工事の1%にとどまる。BIM/CIMの適用の裾野を広げ、使用機会を増やしていく方針だ。
この他、各施策により創出した時間短縮や効率性が、現場にどのような影響が出ているかの具体的な把握にも乗り出していく。
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