ニュース
» 2019年08月22日 08時00分 公開

設計初期に地盤や床の“振動影響”を評価するシステムを実用化、清水建設

[BUILT]

 清水建設は、道路や鉄道、機械、設備機器などに起因する環境振動の影響を客観的に評価する「環境振動評価システム」を実用化した。設計者はこのシステムを利用すれば、設計の初期段階で、環境振動の影響を予測することができるようになる。

地下鉄、地盤、床振動を評価する3つのツール

 多くの場合、建物に振動を与える発生源は、道路や鉄道、地下鉄などの外部と、空調をはじめとする各種設備機器、機械類、建物利用者の歩行や運動などの内部に大別される。通常、設計者は過去の事例や自身の経験をもとに、建物に影響を及ぼす環境振動を想定した上で、柱、梁(はり)、床などの構造部材を決定し、必要に応じて防振対策を施している。しかし、検討には相当な時間を要し、手法や精度にばらつきがあるため、客観的な評価システムが必要とされていた。

 清水建設の開発した環境振動評価システムは、環境振動の発生源を容易に抽出できるチェックリストと、環境振動への対応の要否を解析・検討する3種類の検討ツール「固体音予測ツール」「地盤振動解析ツール」「床振動簡易解析ツール」で構成されている。固体音予測ツールは地下鉄から建物に伝搬する振動に起因する騒音、地盤振動解析ツールは道路や工場から地盤に伝わる振動、床振動簡易解析ツールは建物の床振動をそれぞれ評価する。

 システムの利用手順は、設計者はまずチェックリストに沿って、設計する建物の概要をはじめ、内部の機器や設備に関する情報、道路や鉄道、工場、設計する建物が逆に影響を及ぼす可能性がある周辺の病院や住宅といった各種情報を入力する。そうすると、環境振動に関する検討課題がリストアップされ、課題解決に必要な検討ツールや過去案件の参考情報がイントラネットを通じて設計者に提供される仕組みだ。

「環境振動評価システム」の評価フロー 出典:清水建設

 評価結果を基に、設計者は、各ツールを用いて簡易解析モデルを構築し、当該建物に関わる環境振動の大きさを推定。所要時間は半日程度で、その結果を踏まえて構造部材を決め、対策を講じることで、適切な建物性能が確保される。また、詳細検討が必要と判断された場合は、システムとは別に、FEM(有限要素解析)による構造解析などで、詳しく対策案を検討するという。

 清水建設では今後、環境振動評価システムを全社の設計部門で導入していくとしている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.