大成建設は環境振動の予測評価に必要な解析モデルを自動作成する自社開発のツールに、建物部材の形状を単純化して短時間で自動作成する簡易モデル作成機能を追加した。詳細なBIMデータを利用する場合と比較して、解析時間を10分の1以下に短縮できるメリットがある。
大成建設は、環境振動の予測評価に必要な解析モデルを自動作成するツール「T-BIM Vibration」に、建物部材の形状を単純化して短時間で自動作成する簡易モデル作成機能を追加した。
環境振動は、車両・人の通行、屋内外に設置した機械稼働時の振動や風などにより、建物のある敷地周辺や建物内で日常的に発生する微小振動をいう。通常、建物内外で日常的に発生するこれらの環境振動は、建物の居住性や精密機器などに大きな影響を及ぼすため、発生する振動の影響を事前に把握するために予測評価を行っている。
これまで大成建設は、部材の形状や使用材料などの属性情報を持つBIMデータをもとに、環境振動を予測評価するために必要な解析モデルを自動作成するツール「T-BIM Vibration」を開発し、部材形状を忠実に再現した詳細モデルを用いて事前予測を実施してきた。しかし、詳細モデルでは解析可能な建物がRC造建物に限定される上、時間もかかるという課題があった。
同社はこれらの課題をクリアするため同ツールに建物の構造や規模を問わず、短時間で解析モデルを自動作成できる簡易モデル作成機能を追加した。
具体的には建物の柱・梁部材の線形状や床・壁の面形状を単純化してフレームや床面を自動抽出する簡易モデル作成機能を加えたことで、鉄骨造、RC造など建物の構造を問わず、解析モデルを自動作成するなど適用範囲が拡大した。
また、簡易モデルの解析時間は詳細モデルで実施する場合の10分の1以下に短縮でき、大規模な建物でも本ツールを用いることにより計画策定や設計変更などへのニーズに迅速に対応することが可能となった。
今後、大成建設では、同ツールを建物の構造や規模を問わず、複雑な形状の建物などに対する環境振動の影響を考慮した計画・設計に有効活用し、優れた耐振動性能を経済的な設計により実現する建物の提案に生かす方針だ。
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