竹中工務店はメルセデス・ベンツとコラボした体験施設「EQ House」で、ビルオートメーションシステムとAIを融合させ、次世代のビル設備管理に向けた実証実験を行う。将来的には、ビル設備や居住者データのビッグデータを解析し、AIによる居住者ごとに最適な照明や空調などを提供することも見込む。
竹中工務店とHEROZは、HEROZのAI「HEROZ Kishin」を用いた空間制御システム「Archiphilia Engine(アーキフィリアエンジン)」を共同開発した。竹中工務店が設計・施工を担当した「EQ House(イーキューハウス)」プロジェクトで、2019年6月5日から実証実験を開始した。
Archiphilia Engineは、建物内に設置したセンサーから取得したビッグデータを元に、AIで設備システムの運転条件を自動で最適化する。ビル設備の省エネルギーや施設管理の省人化につなげる。さらに、居住者の好みや快適性といったデータを継続的にAIが学習していくことで、一人ひとりにカスタマイズされた室内環境を自動で提供することも見込む。
Archiphilia Engineのシステムは、建物設備システムやIoTデータを一元的に管理する「ビルコミュニケーションシステム(以下、ビルコミ)」で収集・保存したデータをHEROZ Kishinと連携させて運用する。
竹中工務店がNTTコミュニケーションズと開発したビルコミは、ビル設備の各システムをクラウド上から統合して管理できるビルオートメーションシステム(BAS)。このBASに、HEROZ Kishinを組み合わせることで、各種データをスマートデバイスなどでリアルタイムに見える化し、ビッグデータ処理基盤の“Apache Spark”で処理にかけ、AIで解析して設備制御を最適化する。
実証実験を行うEQ Houseは、メルセデス・ベンツ日本とコラボレーションし、モビリティとリビングの未来像を建築で具現化する目的で、東京・六本木に2年間限定で2019年3月13日にオープンした体験型施設。施設内には、入居者や環境情報をリアルタイムに細かく把握するための環境センサー、人感センサー、ウェアラブルセンサーといった多様なIoTセンサー以外にも、照明システムや空調システム、電力マネジメントシステム「I.SEM」などの建物設備システムから得られたデータも統合。EQ House で運用されている演出システムなどに活用しつつ、クラウドに集め、ArchiphiliaTM Engineで処理し、AI学習により高度に設備制御された空間を実現することを目指す。
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