英国内2万6000キロの水道管網を対象に、AIの劣化予測ソフトを丸紅らが開発検査・維持管理

Fractaと丸紅は、英国北東イングランドに本社を置く「Northumbrian Water Group」と共同で、同国の水道管を対象とした劣化予測のソフトウェア開発に着手する。

» 2019年05月22日 09時06分 公開
[谷川整BUILT]

 AIで水道管の維持管理サービスを提供しているFractaと、1990年代より水事業に参画した丸紅は2019年5月17日、Northumbrian Water Group(NWG)と共同で、水道管の劣化予測ソフトウェア開発に向けた実証実験を行うと発表した。NWGが保有する英国内の総延長2万6000キロの上水管網を対象に、劣化を予測するソフトウェアと関連サービスの社会実装を目指す。

欧州が抱える水道管劣化問題を解決

Fractaソフトウェアのイメージ 出典:Fracta、丸紅

 Fractaは、配管素材や使用年数、土壌/気候/人口などの地理的データを組み合わせ、相関分析のアルゴリズムで水道管の破損確率や交換順序を導き出すソフトウェアを開発した。このソフトを用い、NWGから提供される上水管網と破損履歴のデータをもとに解析することで、水道管更新の最適なタイミングを知ることができ、中長期的な視点で設備投資額の大幅な削減が可能になる。既に米国では、18州で40を超える水道事業者に対し、同様のサービスを提供しているという。

 水道管の老朽化が進行している欧州での水道管網劣化予測ソフトウェアの事業展開に当たり、Fractaと丸紅は2019年1月にパートナーシップ契約を締結。連携の第1弾として、水道事業効率化への要求が欧州で最も厳しいとされている英国での需要を見込み、NWGとデータ提供に関する契約を結んだ。今後、Fractaと丸紅は各種のデータ収集・分析を進め、2019年度中に英国を対象とした水道管劣化予測ソフトウェアの開発を進める。

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