佐藤氏は「昨今、BIMの活用が提唱されているが、実際にはなかなか普及してはいない。データの情報入力に膨大な労力がかかることやBIM/CADだと、専用ソフトウェアの知識が必要となることもハードルとなっているとみられる。その点、バーチャルツアーマニュアルは直感的な操作が可能で、誰でも専門知識が無くても扱うことができるメリットがある」と語る。
また、働き方改革は建築業界にも波及しており、現場の業務は、日中は現場の施工管理、夜は書類作成と、長時間労働が避けられない状況にある。そこで、働き方の改善も見据え、現場のICT活用やペーパーレス化を目指し、バーチャルツアーマニュアルを地上18階(塔屋2階)建て事務所ビルの新築工事に試験的に導入した。
適用した現場では、撮影したフロア数はオフィス基準階の7フロアで、パノラマの撮影画像数は約200枚に上った。データ作成の流れは、まずは作成前に、建物全体か特定の設備を撮影するのか撮影計画を立てる。その後、機器配置図、取扱説明書、完成図、補足資料などのパノラマデータに組み合わせる必要資料の整理、写真撮影、撮影した写真を専用ソフトで編集し、最後にデータをチェック/校正して完成させ納品する。
撮影機器は、RICOH THETA(リコー シータ)SCで、現場では3脚を使い、天井内はLED光源で照らして画像を取得した。撮った生データのパノラマ画像は、そのままでは湾曲したものになっているが専用のビュワーソフトで閲覧すると、ゆがみが補正されたパノラマ画像として見ることができる。専用ソフトでは、資料整理の工程でまとめた情報をパノラマ画像にリンク付けする。
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