熊谷組が複数台の“クローラーキャリア”をAIで制御、阿蘇大橋の土砂運搬に導入AI(2/2 ページ)

» 2019年04月18日 10時25分 公開
[谷川整BUILT]
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 AIによる自動制御は、教示ステップ、分析ステップ、計画ステップ、実行/指令ステップの4段階に分けて行う。教示ステップでは、教示運転を実施して、教示経路データを作成する。分析ステップは教示経路を踏まえ、それぞれの車両サイズなどの条件も加味して、安全な位置関係と衝突の可能性のある危険な位置関係を算出し、安全な状態を特定する。

 計画ステップは、経路の始点/終点位置、土砂積載、廃棄などの作業目標を設定。最もコストや時間が少なくなる効率的な運行計画パターンを自動的に作成。これらのステップを経た実行/指令のステップでは、コントローラーのスタートスイッチを押すだけで、複数台のキャリアが自動で運行する。

コントローラー 出典:熊谷組
自動走行対応不整地運搬車 出典:熊谷組
AI制御フロー 出典:熊谷組

 2018年9月には、阿蘇大橋地区斜面対策工事(熊本県)における土砂運搬の実施工に技術導入し、有効性を確認した。「土留盛土工上部崩壊斜面」内で運用し、オペレーター1人による遠隔操作バックホウ1台と、AI制御のキャリア2台を投入して、土砂積載、運搬、搬出の作業を検証。片道300メートル、勾配最大20%の条件下で、毎時24.6立方メートルを運搬した。

実施工での検証概要 出典:熊谷組
実施工時の操作室 出典:熊谷組
実施工でのAI自動走行 出典:熊谷組

 熊谷組は、AIによる自動制御を導入する効果について、運行監視要員の省力化、積み込み機械オペレーターの負担軽減、建機自体の負荷低減、接触事故防止のメリットの他、経路が複雑で長距離である場合にも、応用できる拡張性があることを挙げている。今後については、「現場ごとの条件を反映させ、精密な運行管理やAI学習の蓄積を行っていく」としている。

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