インタビュー
» 2019年04月12日 05時32分 公開

カシワバラ・コーポレーションの狙いとは?:難題山積みの建設業を救えるか?世界で注目される「Con-Tech(建設テック)」の日本版が始動! (1/2)

マンションの大規模修繕工事を手掛けるカシワバラ・コーポレーションは、「建設×テクノロジー」で業界の課題解決を目指し、有望なITスタートアップ企業へ投資する「JAPAN Con-Tech(建設テック) FUND」を開始した。当初の投資枠は50億円で、建設業に技術革新をもたらす企業を募っていく。

[石原忍,BUILT]

 建設業界で70年近い歴史を持つカシワバラ・コーポレーションは、ここ数年で新たなベンチャーの波として注目を集める「Con-Tech」の日本版をスタートさせた。50億円の投資枠を設け、建設業界を対象としたITスタートアップにリスクマネーと成長ノウハウを提供し、業界の課題解決を目指す。

 Con-Techプロジェクトを国内で始めた理由などを、カシワバラ・コーポレーションの事業開発プロジェクト室 CONTECHプロジェクト プロジェクトマネジャー・山田浩司氏と、同社財務部部長・岡崎紀史氏に聞いた。

建設業の生産性向上には、ITへの投資が解決策に

CONTECHプロジェクト プロジェクトマネジャー・山田浩司氏

 国内の建設市場は、自動車産業の次ぎに巨大で、およそ57兆円を超える。しかし、少子高齢化や人口減に伴って、現在現場を担っている技術者は高齢化し定年が迫っており、その一方で3Kのイメージが根強い業界に若年層が入職してこず、人手不足がより深刻になることが確実視されている。

 また、建設業は過酷な現場が多く、労働者の体への負担も大きい。その上、高所での作業やトンネル工事では、危険も常に付きまとい、解決すべき問題は山積しているのに、製造業に比べ、ITやテクノロジーの導入が遅れており、生産性が停滞したままなのが現状だ。これは何も日本だけに限った話だけではなく、建設業を取り巻く状況は、グローバルでも同様なことが起きている。

 あるレポートによれば、世界の建設業における生産性は、過去20年間でわずか1%しか向上しておらず、製造の3.6%、経済の2.8%に大きく後れを取っている(McKinsey&company(2017)「Reinventing construction: a route to higher productivity」)。

 生産性が向上しない理由は多数あるが、とくにITへの投資の少なさが指摘されている。米国の建設会社を対象に行われた調査では、ITが売り上げの2%にとどまっている企業が半数を超え、専任のIT担当者を配置している会社に至っては4割程度だったという(JBKnowledge「The 2017 ConTech Survey」)。

財務部部長・岡崎紀史氏

 そこで、海外でこの解決策になると目されているのが、新たなベンチャーの波「Con-Tech(コンテック)」だ。Con-Techは、Construction(建設)×Technology(技術)を掛け合わせた単語で、建設業界のIT化を進めて、変革を起こそうという新たな試み。これまでヒューマンリソース頼みだった業務内容をデータドリブンで効率化させ、生産性の向上を図る。

 米国では、2015年ごろから盛んになり、国内でもソフトバンク・ビジョン・ファンドが2018年1月、米Katerra(カテラ)に8億6500万ドルの出資を決めている。

 外資系コンサルタント出身だという山田氏は、「スタートアップ企業からの提案を単に受ける形ではなく、建設業界が率先する形で、国内でのJAPAN Con-Tech FUNDをスタートさせた。パートナー企業とは互いの強みを融合させ、既存の業態ではできないことをテクノロジーで可能にし、業界全体に浸透するようにしていきたい」と話す。

「JAPAN Con-Tech FUND」のWeb画面
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