インタビュー
» 2019年04月12日 05時32分 公開

難題山積みの建設業を救えるか?世界で注目される「Con-Tech(建設テック)」の日本版が始動!カシワバラ・コーポレーションの狙いとは?(2/2 ページ)

[石原忍,BUILT]
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数万円から数十億円のさまざまな現場で、技術検証が可能

 協業を募る企業には、特に条件を設けておらず、幅広いサービス形態を受け入れる。「投資によって、業界全体を改革するなどと、大胆なことは言わないが、建設業界に資するソリューションが生まれると同時に、投資した会社が成長してくれるのが望ましい。新たなテクノロジーで、職人や建設技術者/技能者が付加価値のある仕事ができることにつなげたい」(山田氏)。

 なぜ、国内の建設会社がCon-Techを始めたのかについて山田氏は、「ここ最近のIT化は、ベンチャー企業側からの提案で行われることが多いが、そうではなく、こちら側(当事者側)から歩み寄っていくことも必要なのではないかと考えた。当社グループには建設資材の販売、保険の代理店、DIYを対象としたWebメディアなど、14社があり、建設業の中にいながら、多様な業態でさまざまな先進的な取り組みも行っている。既存業態ではできないようなことも、一緒に組むことで、実現するのでは、と思ったのが出発点だ」と説明する。

 一方、岡崎氏は、「社内の一部事務作業では、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入するなど、ITへの感度も他の建設会社に比べて高いと自負している。仮に先進的で資金力のある大手ゼネンコンと創業間もない企業が共同で開発したとしても、縦構造の中で閉じてしまってヨコへの広がりが見込めない。場合によっては、できあがったシステムが単独の会社仕様で完結してしまうこともあり得るだろう。当社は連結の売上で約700億円だが、意思決定はスピーディーなため、即断を必要とするスタートアップ企業と組みやすい。狙いは資産運用では決してなく、新規ビジネスの成長と我々が抱える課題解消にあり、そのためにはきちんとテクノロジーを形にすることだ」と強調する。

マンション大規模修繕のイメージ

 「当社の手掛ける現場は、マンション大規模修繕、プラントメンテナンス、オフィス/店舗/社宅のリノベーション、建築ではビルから新築住宅までの設計・施工など、受注単価も数万円から40億円まで大小さまざまを扱う。言い換えれば、多種多様な現場があり、新たな技術を試験的に適用しやすい開発環境が整っている。参入障壁の高い建設業界で、協力が得られないという声もよく聞く。投資先企業のバックアップをしながら、実証実験や導入支援の場の提供も行っていく」(岡崎氏)。

 現在のところ、想定される技術としては、ドローンやレーザースキャナーを用いた3次元データ化をはじめ、クラウド/ビッグデータ/AIによるデータ管理、VR/ARの可視化、施工ロボットやパワースーツなど作業員の負担軽減などで、人に代わる労働力の提供から、コミュニケーションのサポートまでと多岐にわたる。

プラントメンテンナスのイメージ

 山田氏が理想形と語るKaterraは、2015年にテスラやフレストロニクスでCEOを務めたMichaelMarksらによって設立された建設会社。従来の建設業界でネックだった長いサプライチェーンを改善し、BIMモデルやERPシステムを活用することで、建物の3次元モデルに設計・施工に関するあらゆる情報を統合して、サプライチェーン全体で共有している。

 資材調達からデザイン、建築までを“垂直統合”することで、サプライチェーンの最適化を図り、ゼネコン方式ではありえなかった品質確保と工期短縮を実現。ただ、旧来のハウスメーカーの様に画一的な建築物を生産するのではなく、設計事務所を買収するなどして、デザインには特に注力し、資材調達や情報共有の無駄な部分などを省くことで、意匠性の高い建築物を生み出している。現在では会社創業3年にして、評価額30億ドルに達し、全米ゼネコンTOP20に入るほどの急成長を遂げている。

 日本でも、また違った形で業界を変えてくれる会社が現れればと期待を込める山田氏だが、「JAPAN Con-Tech FUNDには既に、10社前後からの応募が来ている。2019年度内の早い段階で、最初の提携をできるように協議を重ねていきたい。ただ、1社だけに限定しているわけではないので、意欲的な会社からの問い合わせは随時応じていくつもりだ」と意欲を見せた。

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