鉄塔点検は、点検箇所をドローンでピンポイントに撮影し、データ管理、レポート作成を自動で行う一連のソリューションを提供。点検方法はまず、初回飛行時に、鉄塔3Dモデル作成のため、鉄塔全体を旋回して自動飛行。その後、3Dモデルで点検が必要な箇所をピンポイントで指定することで、専用のドローンが自動で撮影する。全ての点検箇所の撮影データは一元管理され、最終的に自動で点検レポートが作成される。
機体は鉄塔専用の「KD-I01」で、耐風速は毎秒12メートル、飛行時間30分まで。マニュアル点検では、4人がかりで点検に2時間を要するが、ドローン点検であれば高所作業などの労災リスク無しで、2人で1時間ほどで完了するという。
現在、送電設備へ適用できるソリューションを中部電力、中部テレコミュニケーションと共同で研究を進めている。KDDIが保有する通信鉄塔における点検業務では、2019年度よりこのドローン点検を導入する予定だ。
風力点検では、風力タービンの周囲をドローンが撮影し、位置情報や高度情報を基にデータ管理、レポートまでを自動化させている。
測量解析と農業精密は、パートナー企業との連携によりサービスを提供し、測量ではスマートドローンを活用した測量によるデータ収集と、国土交通省が推進する“i-Construction”に対応したアイサンテクノロジーの測量専用ソフト「Wing Earth」で、大規模3次元点群データの処理と解析を行う。地上レーザーでは、測量対象面積0.01キロ平方メートルの経費が約26万円かかるのに対し、ドローンであれば約10万円ほどで済む。
一方の精密農業は、スカイマティクスの葉色分析サービス「いろは」で、農作物の生育管理と、農薬散布サービス「はかせ」をスマートドローンのプラットフォームにリンクさせて、効率的な散布ルート作成と、自律飛行による適所散布を実現する。
これらのドローンサービスを支えるプラットフォームは、通信、機体、気象/地図、運航管理で構成。通信は、アンライセンス通信に加え、“4G LTE”のモバイル通信にも対応し、クラウドとの連携や遠隔監視/制御を実現。従来の2.4GHz帯などアンライセンスバンドでは、飛行範囲が数百メートルに限定され、現地での監視も必要で、さらにSDカードなどからローカルPCへと保存して確認していた。4G LTEのスマートドローンであれば、長距離/広範囲をカバーし、遠隔での飛行コントロールな上に、取得データは即座にクラウドにアップロードされるため、操縦者がリアルタイムで確認できる利点がもたらされる。
機体は、用途それぞれに応じた最適な機種をラインアップ。気象/地図に関しては、高精細な上空の気象予測が提供されることで、ドローンの飛行可否の判断に役立ち、3次元地図は、ルート設定時に飛行高度を自動設定することにつながる。運航管理は、自律飛行のための計画作成から、運航状況、カメラ映像の監視、機体やカメラの遠隔制御のソリューション。
プラットフォームを支えるパートナー企業は、機体は2018年10月に資本提携を結んだ「プロドローン」。気象は「ウェザーニューズ」、地図は「ゼンリン」、運航管理は「テラドローン」のそれぞれの協力を得て、スマートドローンのプラットフォームを構築している。
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