NECは、顔がカメラに一部分しか映っていなくても、映像や画像に記録された全身像から人物を高精度にマッチングさせる「人物照合技術」を開発した。
NECは、顔や体の一部が見えない部分がある場合や後ろ向き・横向きでも、全身の外観画像を用いて照合する顔画像の認証だけに限らない「人物照合技術」を開発した。人や遮蔽(しゃへい)物が多く、人物の顔や体の一部が見えないような場所でも広範囲での人物把握が実現する。
新技術は、カメラに写った人物の服装や体形などの外観を分析することで、同一人物か、異なる人物かを判定。これまで顔認証技術などで培ってきた映像解析技術と、深層学習技術を活用して、顔画像だけに頼らない高精度な技術を確立した。
これまでのカメラ映像から人物を照合する顔認証技術は、横向き・後ろ向きなどの顔が見えない人物には対応できなかった。その解決には、顔認証技術の人物判定後に、その人物の外観を複数のカメラで照合する方法があった。しかし、施設内で多数の人々や椅子、カウンターなどの遮蔽物がある場合には、把握したい人物の一部がカメラから見えないことがあり、照合するのは困難だった。
新たに開発した人物照合技術は、この課題を解決し、人の顔や体の一部が隠れてしまう場所でも、広範囲に人物を把握。主な用途としては、人や遮蔽物が多い大規模施設内の警備支援や顔認証技術との組み合わせで、迷子など人を捜索するサービスなどが想定される。
深層学習技術には、独自の工夫が施され、人混みや物影がある環境など、人と人、人と物の重なり、人物映像にカメラの死角がある場合でも、その他の部分を自動的に選択し、それに基づいて人物を照合する。人物照合率は、公開データベースにより、自社評価で約9割だという。
また、深層学習技術の効果的な利用により、複数のカメラで後ろ向きや横向きなどのさまざまな角度で人物を撮影して照合するため、顔が見えなくても、カメラ映像のみを用いた人物のマッチングが可能になった。
NECでは、2020年度までの3カ年の中期経営計画「2020中期経営計画」で、セーフティ事業をグローバルでの成長エンジンに位置付けている。新開発した人物照合技術は、「NEC Safer Cities」の実現に向けたソリューションやサービスの開発を加速・強化するものとして、安全・安心な街づくりに貢献していくとしている。
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