国交省の予算概要から見る市場展望、2019年は「防災・減災」で前年度比15%の大幅増建設市場動向(2/2 ページ)

» 2019年02月01日 07時00分 公開
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国の建設投資は、五輪後に「防災・減災」で増加する?

 このように増大する公共事業関係費や東京オリンピック・パラリンピック関連の建設需要を背景に、建設市場は堅調に推移している。

 国土交通省が発表している月別の受注工事高と手持ち工事高の推移を見ると、2018年11月の手持ち工事高(受注した工事金額のうち、その時点で工事が終わっていない金額)は、32兆8441億円。2017年11月の33兆9537億円よりも減少したものの、2016年11月の31兆7939億円は上回り、依然として高水準が続いていることがうかがえる。

 また、建設業の売上高の先行指標となる受注工事高の推移についても、2018年度は2017年度並みの水準で推移しており、2019年度についても建設市場は堅調に推移すると予測している(図表4)。

図表4 月別の受注工事高・手持ち工事高の推移 出典:国土交通省「建設工事受注動態統計調査」「建設総合統計」より作成
2018年7月豪雨の土砂崩れ

 ヒューマンタッチ総研所長・高本和幸氏は、「2019年度予算を見ると、防災・減災対策と老朽化したインフラの整備に大規模な予算が投入される方向性にあり、東京五輪後の2020年度以降も、建設市場は堅調に成長するのではないか。さらに2018年7月豪雨、北海道胆振東部地震など、自然災害が多発する中で、国民の生命と財産を守るための“防災・減災対策”は重要な課題と認識されており、今後も、防災・減災に関連する予算は確保されていくことが推測できる」。

 また、「2018年11月に公表された国土交通省の試算(「国土交通省所管分野における社会資本の将来の維持管理・更新費の推計」)では、2018年度のインフラの維持管理・更新費用は約5.2兆円だが、5年後の2023年度は5.5〜6.0兆円、10年後の2028年度は5.8〜6.4兆円程度に増えると推計されており、インフラの老朽化対策についても予算額は上昇傾向が続く」。

 上記のような状況を踏まえると、「建設業の人材不足は2020年の東京オリンピック終了後も継続が危惧され、中・長期的なスパンでの人材確保・育成策の推進と生産性向上への取り組みが、建設業各社の大きな経営課題になる」と予測する。

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