ヒューマンタッチ総研は2019年1月31日、独自レポート「2019年度予算案から見る建設市場の動向」を公表した。
ヒューマンタッチ総研は、2019年(平成31年)度予算案における公共事業関係費などから、2019年度の建設市場の動向について独自分析をまとめた。
それによると防災・減災、インフラ老朽化対策、i-Constructionの推進、働き方改革の推進に、前年度を大きく上回る予算が投入されていることから、建設市場業績は2019年度も堅調に推移すると予測している。
国土交通省の「2019年度予算概要」によると、公共事業関係費は、2019年10月に予定されている消費税率引き上げに伴う経済変動対策と、防災・減災、国土強靱化3カ年緊急対策を集中的に実施するための臨時・特別措置が別枠で7153億円が積み増されたため、総額は前年度を7835億円(前年度比15.1%増)も上回る5兆9663億円と、大幅な増加となった(図表1)。
建設業に関連する主な予算項目を見ると、「地域における総合的な防災・減災対策、老朽化対策等に対する集中的支援」に1兆3173億円(前年度比18%増)、「水防災意識社会」の再構築に向けた水害対策の推進に6030億円(前年度比52%増)、将来を見据えたインフラ老朽化対策の推進に4882億円(前年度比9%増)など、防災・減災対策や老朽化したインフラ対策を中心に前年を大きく上回る予算が投入されている(図表2)。
また、2019年10月に予定されている消費税率引き上げによる住宅の需要変動を平準化するため、「すまい給付金」の対象となる所得階層の拡充および給付額の引き上げ、省エネ性や耐震性などが、一定の性能を満たす住宅の新築やリフォームに対するポイント制度の創設に2085億円を投入する要因となった。
建設業界における働き方改革の推進のために、1億300万円(前年度比13%増)が配分され、適正な工期設定による長時間労働の是正や週休2日確保の推進が図られている。
さらに、オープンイノベーションによるi-Constructionの推進に33億円(前年度比2.06倍)と、2018年度の2倍以上の予算が投じられるなど、働き方改革と同時に生産性向上を推進する政策も強化されている。
建設業の人材確保・育成に向けて厚生労働省も、建設事業主などに対する助成金として59億円(前年度比11%増)を予算化しており、両省が連携して政策的支援を強化している(図表3)。
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