ダム建設前の地形測量の現場では、東西700m・南北500mを計測し、この範囲を4フライトでカバーした。同社では通常、本番前に、安価な機体を用いて確認飛行を必ず行っているため、実際にはテスト4フライトと本番の4フライトの計8フライトを飛行させた。
地滑りが発生した現場確認の案件では、レーザー計測とカメラ撮影も同時に実施。カメラ画像をベースにオルソ化して3次元点群データを作成。道路や地形の形状を図化しなくても、オルソに等高線を重ねるだけで、現況確認が実現した。
最近注目されている“森林計測”は、地上からでは状況がつかみにくいため、上空から地上を確認できるドローンは有効な手段として、林業や木材産業でニーズは高まりつつある。レーザー計測であれば、樹木下の地形の把握だけでなく、“樹高”を可視化するこ。樹高の高いエリアを「赤」、樹高の低いところを「青」に色分けして、一目で判別できるようになる。
他にも今後の需要拡大が見込めるのが、国で予算化され3カ年で実施される河川の上流部の調査業務。自治体にも、河川上流部の平面図や台帳が無いところが多く、周囲に樹木や雑草があって、地上からでは現況が見えにくい小さな河川を、UAVレーザーで台帳化していく動きも出始めている。
さまざまなシーンで活躍の場を広げるレーザー測量だが、航空写真測量との1番の違いは、1フライトあたりの計測量。写真は重複度(ラップ率)の関係もあり、素早く飛ばして撮影することはできない。また、レーザーであれば、標定点(調整用基準点)の数も少なくて済む。レーザーは4点、写真測量は100mにつき1点のため、おおよそ18〜20点は必要となる。点群の処理時間も、写真から点群を抽出するよりも、レーザーから点群を取得した方が早く完了する。
レーザーの機構は、光源からレーザー光を「回転反射ミラー」で反射して360度照射させるというもの。ミニレンジャーというタイプでは、1秒間に10万発をも照射する。ミラーで少しづつ照射角度を変えて、機体が進むことで面的にデータを取得している。
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