実際に導入した現場では、施工中の建物頂部を全天候型のカバーで覆い、カバー内に配置した水平スライドクレーン「Exter」で、鉄骨柱などの資機材を揚重している。
Exterは、水平方向に伸縮する新開発のブームで、作業半径を自由に調整できるタワークレーン。水平方向に伸縮するブームは3体に分割され、クレーンの根本に位置する最大外寸の固定式ブームの中に中間と先端のブーム2体を納める構造だ。
資材の揚重作業時には、ブームを先端部から順に送り出して延伸し、全天候カバー側面に設けた開口部からブームを外に突き出し、地上部から資材を揚重してはブームを縮めて、全天候カバーの中に資材を取り込む。カバー内では、ブームを伸縮・水平旋回させ、所定の位置に吊荷を下ろす。最大吊(定格)荷重は12t(トン)、作業半径3〜25m(メートル)、揚程(揚重高さ)200m。
現場では、段階的にシミズ・スマート・サイトを適用し、初弾として新型クレーンExterを実装した。2018年3月から資材の揚重作業に入り、同年8月に鉄骨が7階まで立ち上がった際には、幅30m×奥行き40m×高さ40mの全天候型カバーが完成。建方の進行に合わせ、カバーを上部へクライミングさせながら工事を進めた。
その後、建設ロボットは、搬送用Robo-Carrierが10月上旬から、荷取場の1階と搬送先階での水平搬送をそれぞれ担う計2台が稼働。現場作業終了後の夜間帯には、1台が1階の荷取場で天井ボードなどを載せたパレットを受け取り、垂直搬送エレベーター内に仮置き。もう1台が施工階まで上昇したエレベーターからパレットを受け取って所定の荷置場に搬送する。2019年2月まで運用する予定で、最終的には天井ボードとエアコンユニットを20フロア分、各階50〜60パレット、計1000〜1200のパレットを搬送することになるという。
また、天井施工のRobo-Buddyは12月上旬の導入で、今後は3階ロビーや一部客室の吊り天井を施工する。溶接ロボRobo-Welderは、9月上旬から9〜24階の鉄骨柱を溶接する計画だったが、現場溶接に対応した新方式のロボット開発を優先したため、作業実績は10月と11月に各1回実施した鉄骨柱2本の溶接にとどまった。
からくさホテルグランデ新大阪タワーの計画地は、大阪市淀川区宮原3丁目3番9番他。発注者は佐川急便を傘下に置くSGホールディングスが設立したSGリアルティ、ホテル運営者はザイマックスグループ。ホテルの規模は、地下1階・地上24階建て、建築面積1050m2(平方メートル)、延べ床面積1万8450m2。客室数は宿泊特化型として396室。このうち、160室はコネクティングルーム(隣り合う部屋をドアでつなげた続き部屋)。工期は2017年6月20日〜2019年8月末。
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