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» 2018年11月20日 11時30分 公開

外壁はく落事故防止:外壁タイルのはく落を予防・保全する新工法、工期2割/工事費3割の圧縮を実現

大林組は、外壁タイルのはく落を予防・保全する外壁改修技術「リニューフェイス」を開発し、既に効果が実証されたことを明らかにした。この工法であれば、工期を20%短縮でき、工事費も最大で30%削減が可能だという。

[石原忍,BUILT]

 大林組は、タイル張り外壁の改修工事で、落下防止ネットと石材調の仕上げ材をあらかじめ一体化した石材調シートをアンカーピンなどにより、既存外壁に固定することで、短工期かつ低コストでタイルのはく落を予防・保全する外壁改修技術「リニューフェイス」を開発した。

 リニューフェイスは、落下防止ネットと仕上げ材を一体化した石材調シートを、既存のタイル張り外壁の全面に固定することで、タイルのはく落予防・保全と、意匠性の高い仕上げを両立させた新工法。

落下防止ネットと仕上げ材を一体化させ、工場で製作

 多くの建築物に用いられているタイル張りの外壁は、経年劣化によりタイルがはがれ落ちて、通行人への落下事故などを引き起こしかねないため、対策を講じることが強く求められている。

 従来、はく離が発生したタイル張り外壁は、アンカーピンやエポキシ樹脂によって部分的に補修されることが一般的で、はく離が生じるたびに部分的な補修を繰り返さなけばならなかった。近年は、その対策の一つとして、全面的にタイルのはく落を未然に防止することが可能な「外壁複合改修工法」を適用するケースが増えてきている。

 しかしこの工法では、タイル落下を防止するネットを展張した後、その上に石材調シートの張り付けや石材調仕上げ材の吹き付けなど、表面の仕上げを行う必要があった。そのため、作業工程が増え、工期の長期化とコスト増加が課題の一つとなっていた。

従来工法の「外壁複合改修工法」。落下防止ネットの張り付け(外壁複合改修工法) 
新開発した「リニューフェイス」。落下防止兼用石材調シートの張り付け

 大林組が開発したリニューフェイスは、落下防止ネットと仕上げ材をあらかじめ一体化した「石材調シート」を用いることで、従来よりも短工期かつ低コストで、タイルのはく落予防および保全と外装デザインの一新を実現する。既に、日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得済みで、高い安全性を有していることが実証されている。

 リニューフェイスの石材調シートは、工場での事前の製作となるため、施工現場での吹き付けによる仕上げと比べて、施工品質が安定し、塗り継ぎや吹きむらが発生しない。落下防止ネットと仕上げ材の施工を順次行う外壁複合改修工法と比較すると、現場作業の工程を削減できるだけでなく、それに伴う人件費・仮設材料費の低減以外にも、仕上げ材を吹き付ける際の大規模な養生が不要となるため、工期が約20%短縮され、工事費も約20〜30%抑えることができるという。

外壁断面構成の比較

 リニューフェイスは、ポリマーセメントモルタルによる接着と、シート表面からのアンカーピンによる固定を併用して、石材調シートを既存の壁面に固定することで、従来の外壁複合改修工法と同等の安全性が保たれる。

 改修後のメンテナンスでも、従来の外壁複合改修工法では、落下防止ネットを固定するアンカーピンが仕上げ材の下に隠れてしまうため、目視で当該部分を点検することは難しかった。その点、リニューフェイスであれば、仕上げ材に隠れることも無いため、アンカーピンの頭部を目視で確認することができる。アンカーピン周りの変状を早期に発見することが可能になり、定期的な全面外観目視による点検で欠損・浮き上がり・ひび割れをチェックし、上塗り材(石材調シートの表面を保護する透明トップコート)の塗り替えを行うことで、継続して安全性を維持していくことにつながる。

 大林組では、既存のオフィスビルや商業施設など多くのRC造建築物のタイル張り外壁の改修計画で、リニューフェイスを積極的に提案していき、建物所有者の事業継続に貢献していくとしている。

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