地理空間情報科学で未来をつくる「G空間EXPO2018」、G空間を駆使した最先端技術が集結G空間(1/3 ページ)

地理空間情報(G空間)をテーマにしたイベント「G空間EXPO2018」が2018年11月15日、東京・お台場の日本科学未来館にて開幕した。主催は国土交通省。入場料は無料(常設展示を見る場合は入館料が必要)で、会期は2018年11月17日までの3日間。

» 2018年11月17日 05時00分 公開
[石原忍BUILT]

 地理空間情報(G空間)による最先端の研究・技術・サービスが集結したイベント「G空間EXPO2018」が2018年11月15日、東京・お台場の日本科学未来館で開幕した。開催期間は2018年11月17日まで。

 G空間情報は、地図や衛星測位から得られる「いつ・どこ」といった時間・位置情報のことで、現在ではスマートフォンによるナビゲーションや位置情報に連動した新しいサービスなど、建設業のみならず日常の幅広いシーンで活用されている。最近では、自動車の自動運転技術をはじめ、G空間情報と組み合わせたドローン(UAV)や特殊測量車によるインフラ点検技術、所有者不明の土地管理の不動産領域などが注目を集めた。

 8回目の開催となる今回は、日本の衛星測位システムを構成する準天頂衛星「みちびき」が2018年11月1日から本格運用され始めることにちなみ、年次テーマを「みちびきがG空間社会へ導いてくれるよ」とした。会場では、官民の垣根を超えたG空間情報を使ったユニークなアイデアや製品、技術、サービスなどの展示・講演が繰り広げられた。

 本稿では、主催者である国土交通省のブースや建設・測量向けのブースを紹介する。

セミナー会場の一つベンダーフォーラム

 国土交通省 国土政策局は、国土数値情報をはじめとするG空間情報の整備・提供を行っている。国土数値情報は、国土利用計画の策定や国土政策推進を目的に、地形、土地利用、公共施設、道路、鉄道など、国土に関する地理情報を数値化したGISデータを指す。

 G空間情報は、地域の課題を見える化して解決の糸口を見つけ出す取り組みに全国で活用されている。これまでの成果は、HP上で一般公開されており、2017年度のダウンロード件数は年間117万件にものぼり、行政施策・研究・産業用途などで主に利用されているという。

 会場では、G空間の施策や研究の成果発表・情報共有の場として、全国をブロックに分けて順次開催されている「地理空間フォーラム」などの産官学イベントを紹介した。

国土地理院による地形の立体映像投射

 同省が進める「高精度測位社会プロジェクト」の紹介では、2020年東京五輪までに、準天頂衛星4機体制の整備、屋内外測位環境・技術の進展、スマートデバイスの普及などを受けて、高精度な測位環境が整備された社会の実現を目指していることが示された。そのために現在進められている屋内電子地図、屋内測位環境などの空間情報インフラの整備・実証を通じたサービスの見える化、空間情報インフラの効果的な整備手法や継続的に維持・更新するための取り組みが解説された。

 国土地理院の展示小間では、2018年で平成が終わることを機に、「平成の30年を振り返る」と題して、地図の見方が紙媒体からデジタルデータ、Webへの拡がったこと、編集手法が80年代のスクライブから90年代のラスター編集を経て、2002年に点・線・面の要素を経緯度座標と属性情報から表現するベクトル型デジタル編集方式が導入された流れなど、地図にまつわる歴史を振りかえった。地図の修正でも2009年には、公共施設の管理者・整備車と連携して工事図面データをベースにした地図の更新を開始している。今では、ビッグデータとの連携を目指し、登山者のスマートフォンの移動経路から、登山道の修正を行う取組みも始まっている。

 展示物は、パネルでの施策解説、新旧測量機器の展示、地理院の地図を用いて作成した3D模型、東京都区部の地形部を立体視できるデジタル標高地形図、電子基準点がとらえた日本の地殻変動図などを出品した。

かつて使われていた測量機器
東京都区部の地形部を立体視できるデジタル標高地形図

 一方、ベンダーブースでは、「映像がそのまま3D地図になる!だから画像で位置標定!!!」をコンセプトに、複数の企業や研究機関で構成される「CVビジネス研究会」がさまざまな分野のテクノロジーを披露した。

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