国土交通省は、「簡易に鋼材、鉄筋などの腐食状況を把握できる技術」のテーマ設定型・技術公募を開始した。
国土交通省は、2018年10月26日〜11月27日の期間、「簡易に鋼材、鉄筋などの腐食状況を把握できる技術」を公募する。同技術の要求性能に関しては、2018年9月5日〜2018年10月4日の期間でパブリックコメントが行われたが、意見は寄せられなかったため、評価指標、試験方法、試験条件はそのままで行われる。
コンクリートに内在する鋼材や鉄筋などの腐食状況を非破壊で検出する技術は、これまでにも複数開発されているが、現場調査では腐食位置や腐食程度をより効率的で高精度に把握できる技術が求められている。
そのため、現場状況や調査目的に適したものを選定することが必要で、性能評価項目および試験方法を設定した上で、同一条件の下で試験を行い、評価をとりまとめる必要がある。今回、公共工事などにおける新技術活用システムを活用し、既に実用化段階にある「簡易に鋼材、鉄筋の腐食状況を把握できる技術」を広く求める。
対象とする技術は、コンクリート内の鋼材や鉄筋などの腐食状況を非破壊で測定できる技術。条件として、国土交通省の新技術情報提供システム「NETIS」登録技術であることとされている。
試験方法は、原理や特徴、技術の適用条件、誤差の程度、これらの背景となる過去の実証試験データが蓄積されている技術であることを確認する「事前調査」と、損傷の種類を限定し、形状や配筋状態、隣接する損傷の影響をできるだけ排除した「基本性能試験」の2つで行う。
実際に計測する基本性能試験では、2018年12月をめどに、愛知県名古屋市で電気的に腐食させた鉄筋を配置した15体のコンクリート供試体(20×20×100cm)で、屋内にて主鉄筋の腐食程度を計測する。計測面は上面のみで、側面や下面は不可。主鉄筋の腐食程度は、鉄筋質量減少率で示す6区分から選択する。
コスト面の評価では、計測および解析に要した総費用額を試験対象鉄筋の総延長で割り、鉄筋1mあたりの費用(円/m)に換算。また、モデルケースとして想定されている橋梁下部工100m2(RC構造物)で行った場合の費用(円/100m2)も算出する。
時間効率では、試験対象をいかに早く検出できるか、供試体の実計測時間/試験対象の鉄筋延長(min/m)と、いかに早く解析できるか、計測データの整理・解析時間/試験対象の鉄筋延長(h/m)の2項目から算定する。
試験条件は、標準、かぶり(主筋)深い場合、腐食分布(主筋)局所的な場合、交差鉄筋での腐食、内在塩分がある場合の各項目で、それぞれを組み合わせてテストする。
応募された技術のうち、活用効果が高いことが検証されたものは、試験結果を新技術情報提供システム(NETIS)維持管理支援サイトで公表する予定だ。
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