大和ハウス工業では、独自のフォーマットやツール「D's BIM」を策定。テンプレートをはじめ、ファミリ、アドイン、テキストなどが標準化され、社内で同一の運用基準を設けてBIM業務を行っている。
一気通貫BIMの作成では、構造計算ソフト「Super Build/SS3 SS7」「BUS-6」で作った一貫構造計算データを変換して、Autodesk Revitに取り込む。AutoCADやRevitで作った構造図(申請図・投入図)とリンクさせつつ、鉄骨BIMソフト「すけるTON for Revit」で接合部を生成し、構造BIMが完成するというのが一連の流れだ。
作成した構造BIMは、Revitで施工・建方計画、「すけるTON」で鉄骨数量の見積もり、「Real4」で工場での鉄骨加工図など、メーカーの異なるソフトともデータ変換で連携させて、設計以外の部門でも利用できる業務体制を整えている。
これまでのBIMを活用した施工実績のうち、ZEB対応の大型事務所ビル建設工事では、正確な施工モデルによる干渉チェックで問題点を把握した。他にも、狭小地に建つホテル建設工事や介護施設3棟の新築工事にもBIMを活用。大型物流倉庫の案件では測量BIMも試行し、さまざまな物件で一気通貫BIMの検証を進めている。
各プロジェクトでは、定例会での干渉チェックをはじめ、工事監理者・施工図担当・BIMモデラ―で修正箇所を検討した。鉄骨建て方の検討会では、鉄骨やクレーン業者、とび職との建て方や配置の検討をステップ図で段取りの確認にも利用した。他にも近隣住民への説明や施主との打ち合わせに使ったという。
モデルの干渉は、意匠・構造・設計の各モデルを統合した際に起きる連携不足のエラーとされる。BIMに限らず業務上でも各業務で連携が無ければ、概算、申請図、投入図、実行予算までの各段階でエラー(トラブル)が生じる可能性がある。想定されるのは各フェーズでの金額相違、図面の不整合、出戻り・修正作業、工程遅延、完成後の施主の満足不足などだ。
こうしたエラーの発生を防ぐには、最善の「データ連携」と「BIM業務のルール」を策定することが必要となる。BIMを扱う社内のワークフローを統一し、意匠・構造・設備のモデルが一つのBIMとして運用されることで、部門全体の「2重作業」「手戻り作業」「連携ミス」が削減できる。
実際にBIMの連携により、業務の省力化が図れた例として、大和ハウス工業が注力するBIMによる「確認申請」が解説された。確認申請BIMでは、社内だけでなく、申請者と審査側も同一のBIMの取り扱いルールを設定し、BIMモデルを共有した。
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