施工BIMとは上図に示す通り、建築生産プロセスの企画・設計・施工・維持管理のうち、施工段階で活用するBIMのこと。赤丸で囲った箇所は、設計プロセスの後半に施工BIMが一部前倒しされている状況を指し、いわゆる「フロントローディング」が実施されている状態を示している。
ゼネコンがBIMを設計・施工一貫利用するケースで生産性向上に有効といわれているが、社内ワークフローの改革などさまざまな課題があり、全ての設計・施工プロジェクトで実現するにはまだまだハードルが高い。もちろん設計部門を抱えるゼネコンであれば最終目標はBIMによる設計・施工一貫利用だろう。最近では、その先の維持管理までBIMを連携して活用する試みも始まっている。
施工BIMの代表的な活用法について記述しているが、各活用法の難易度については、掲載していない。本書を作成したBIM専門部会展開WGのメンバーで、難易度を付けたので参考として頂きたい。
難易度は★の数で表現し、★★★:高難易度、★★:中難易度、★:低難易度とした。
・まずは、可視化による合意形成が取組みやすい
・鉄骨と設備の干渉チェックで効果が出やすい
・関係者の理解は早く、問題点の抽出が容易
・工事計画や施工手順が容易に理解できる
・実物を作らなくても現寸の確認やテクチャの変更はできる
・施工図の書き出しは詳細表現の意識改革が必要
【難易度が高い理由】
・モデルを限りなく細部まで入力してしまうと、工数がかかり、データも重くなってしまう
・従来のワークフローではコスト等で問題
・施工についての広くかつ深い知識を持つ人かつBIMツールに詳しい人が必要
※BIMで作成する施工図については、第2回:施工BIM活用の作法と塩梅(施工図のLODとBIM施工図への展開)で詳しく解説する。
・数量算出は躯体数量からやってみる
【難易度が高い理由】
・積算することを前提にモデルを作成していない。入れないと出ない
・情報を入れる手間とのコストパフォーマンスを考慮する必要がある
・仕上げについては、積算用ソフトとの連携にまだ課題がある
・既存建物の改修計画で大幅な省力化が可能
【難易度が高い理由】
・点群データのBIMモデルへの変換が困難
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