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» 2018年08月15日 06時00分 公開

3Dレーザースキャナーで橋梁を自動検測、施工管理者の作業時間を半分以下に

三井住友建設は3Dレーザースキャナーを用いた橋梁の出来形検測システムを開発した。既に実際の現場に適用し、施工管理者が検測作業に拘束される時間が半減され、生産性が2倍に向上することを検証したという。

[石原忍,BUILT]

 三井住友建設は、橋梁(きょうりょう)建設に関連するデータを一元的に管理・運用するプラットフォーム「SMC-Bridge」の拡充と、建設生産プロセスの生産性向上を目的に、3Dレーザースキャナーを用いた橋梁の出来形検測システムを開発した。

橋梁の断面形状を自動抽出し、3次元CADデータ化

 現在、構造物の出来形検測作業は、2人1組となってスケール(メジャー)を用いて採寸し記録するのが一般的。各寸法を写真に納め、出来形検測調書を作成し、合否判定のための検測では発注者機関の立会いが必要なため、この一連の作業が施工管理者にとっては大きな負担となっている。

 一方で、出来形検測作業の代替として、高精度な計測が可能な3DレーザースキャナーなどのICT活用が期待されているが、膨大な量の三次元点群データの処理方法や時間、データを取り扱う熟練技術者の確保などは課題となっていた。

 三井住友建設が開発したシステムは、エリジオン社の大規模点群データ処理ソフト「InfiPoints」を用いて独自開発した処理システム。3Dレーザースキャナーで計測した三次元点群データから、橋梁の断面形状を自動抽出し、指定した箇所の出来形寸法を自動検測する。抽出した橋梁の断面形状は、3次元のCADデータとして出力することができ、寸法測定精度はスケールを用いた採寸と同等レベルだという。

3Dレーザースキャナーの3次元点群データから自動抽出される橋梁断面形状の一例 出典:三井住友建設

 クラウド上でデータを管理することで、発注者を含む全ての関係者間で情報共有が図れ、施工管理の記録書類である出来形検測調書に出力することもでき、生産プロセスの生産性向上に大きくつながる。

 システムで検測された施工中の橋梁断面形状データを蓄積し、「SMC-Bridge」上で供用開始時の初期データとして活用することで、将来における維持管理の効率化やライフサイクルコストの低減を図ることも見込んでいる。

 システムの効果測定では、施工中の橋梁建設現場に試験的に適用し、得られる効果を試算。施工管理者が、建設現場において拘束される延べ時間を指標とし、橋梁の一般的な断面を対象に、従来作業と本システムによる作業を比較した結果、構造物1断面あたりの出来形検測に要する延べ拘束時間は45分から20分へと短縮。建設生産プロセスの生産性が約2倍に向上した。

 三井住友建設では、橋梁構造物に限定せず、図面が保存されていない既存構造物の図面作成ツールやコンクリート工場製品など、幅広い展開を図っていくとしている。

施工管理者の延べ拘束時間の比較 出典:三井住友建設

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