山岳トンネル工事に「AR」を活用した安全確保の新技術:現場管理(2/2 ページ)
インターネット接続を介することで、切羽監視員や作業者といった現場だけでなく、坑内外の事務所や本支社でも、PCやスマートフォン・タブレットで掘削現場の状況をリアルタイムに把握できる。現場外でも異常を察知した場合には、警告灯・警報音、バイブレータによる警報発信も可能だという。
監視員による切羽監視状況の近景(ウェアラブル端使用) 提供:竹中土木
ウェアラブル端末に映し出される映像のキャプチャー 提供:竹中土木
山岳のトンネル工事は、掘削の最先端では地山が露出しているため、岩石の落下などによる重篤事故が発生している。とくに肌落ち災害では、6%が死に至り、42%が休業1か月以上となっている。こうした状況を踏まえ、厚生労働省は2018年1月に山岳トンネル工事の災害防止対策に関わるガイドラインを改正。切羽への原則立ち入り禁止と、専任の監視員を配置することを求めた。
しかし、実際には監視員が目視で、わずかな変位に気付くのは難しく、監視の精度を上げ、安全を確保する目的で、竹中土木の技術は開発された。同社では、山岳トンネルのみならず、斜面への展開やさまざまな土木工事で「可視化を用いた技術」による安全性の向上に貢献してくとしている。
- 西松建設、シールドトンネル工事にCIMを導入
西松建設は神奈川県内のシールドトンネル工事に、専用のCIMを導入した。シールドトンネルCIMは、施工計画・施工管理の効率化を目的に開発したもので、導入先の工事で実際の効果を検証する。
- 交通規制なしで、トンネル全断面を点検
東急建設は「トンネル全断面点検システム」の実証実験を千葉県内のトンネル工事で行った。自在に形を変えられるガイドフレームが、道路をまたぐことで、交通規制を敷くことなく、トンネル内の全断面を点検することができる。
- 正答率90%、AIがトンネル地質を自動判定
専門技術者の知見が必要で、時間と手間が掛かるトンネル工事の地質調査。安藤ハザマはこの地質調査の効率化にAIを活用するシステムの開発を進めており、画像から90%以上の正答率で岩石種の判定に成功したという。
- 削孔データで切羽地山を3D評価、トンネル工事を効率化
西松建設はジオマシンエンジニアリングと共同で、山岳トンネルの掘削面と付近の地山性状を連続的に3次元で評価できるシステムを開発した。最適な支保や掘削手法の選定などに役立でることができ、施工の安全性・経済性の向上が期待できるとしている。
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