スマホ上で、ドローンの自動飛行・リアルタイムオルソ化ができる新サービス

ソフトバンク コマース&サービスは、国内外で1万を超えるユーザーに利用されているドローンの自動飛行クラウドサービス「DroneDeploy(ドローンデプロイ)」日本語版のサービス提供を開始する。同サービスは、高価なハードウェアは不必要で、全ての動作がクラウド上で完結する。

» 2018年04月25日 12時00分 公開
[石原忍BUILT]

 ソフトバンク コマース&サービス(ソフトバンクC&S)は2018年4月24日、米国・DroneDeploy社のドローン向け商用クラウドサービス「ドローンデプロイ」の販売を開始した。

 ドローンデプロイは、アンドロイドまたはiOSのタブレット端末に専用アプリをインストールし、ユーザーが目的に応じたエリアや撮影条件を設定するだけで、ドローンの自動飛行と自動撮影が簡単にできるソフトウェア。

飛行中にリアルタイムでオルソ化できる「ライブマップ」

左がドローンデプロイの構成と右が各層に対応したパートナー企業 (クリックで拡大)

 ドローンデプロイの特長として、他には無い「ライブマップ」という機能がある。通常は地図作成には、ドローン内のSDカードから撮影データをPCなどに取り込んで別途作る必要があるが、この機能により飛行中にリアルタイムで、オルソ化した2D地図(解像度720p)をiPhoneなどで確認することができる(現時点でiOSのみ対応)。

左が飛行計画(枠内がフライトエリア)、右が空撮データをもとに作成した地表高低差 (クリックで拡大)

 飛行計画は、地図で飛ばしたいエリアを枠で囲むだけで完了する。空撮データはドローンデプロイ上で、3Dマッピングをはじめ、農業用の植生指数(NDVI)、等高線の地表高低差計算・表示といった分析・作成ができる。出力データの拡張子は、DXF、LAS、OBJ、SHP、TIFF、JPGに対応している。

 また、日本語へのローカライズはまだながらも、ドローンデプロイ上で動かせるアプリが豊富に用意されていることも他に無い特長の1つ。海外仕様では、フライトプラン作成時に禁止区域を色で通知するものや森林飛行時に木の本数をカウントするアプリなどが利用されているという。

 対応するドローンの機種は、「Mavic Pro」「Phantom 3/4」「Inspire1」「Matrice」の各シリーズ。ソフトバンクC&Sが提供する国内のサービス料金は、試用版の「Explore」を除くと、「Pro」が年間16万円、「Business」が50万円。ハイグレードの「Enterprise」が要相談。サポートは全て日本語で、Pro、Businessがメールのみ。Enterpriseは電話での応対も行う。

DroneDeployマイク・ウインCEO=24日、ソフトバンクC&S本社

 同日、都内で開催された記者発表で、DroneDeployのマイク・ウイン(MikeWinn)CEOは、「当社は、2013年にサンフランシスコで設立し、ドローン業界では珍しく機体自体は扱わず、ソフトウェア開発に特化した企業。現在、180カ国以上でユーザーは3000社・3万人に上る。提供するプラットフォームは、ドローンをモバイル端末で自動制御できるほか、78ものアプリを搭載可能で、幅広い業種での使用に応えられる」と紹介。ワールドワイドでのドローンデプロイの用途は、建築(27%)、農業(23%)の順で多く、最近では不動産(10%)が成長してきているという。

 今後の開発予定については、「撮影だけでなく、農薬散布も同時に行えるような自動制御のドローンを考えている。その先にトラックなどの遠隔操作、自動運転なども視野に入れている」と語った。

 ソフトバンクC&Sでは、2018年における日本のドローン市場は885億円にまで成長すると予測。2018年3月29日に国土交通省が、操縦者の目の届かない目視外でのドローン飛行を認めたこと、4月3日に法人利用でも飛行許可の申請がWeb上でも可能になったことを受けて、今後は産業用途での拡大が大きく見込めると期待を説明した。

 同社のマーケティング担当は、日本語へのローカライズに関して、「ソフトウェアやマニュアル、保守サポートは日本語化が済んでいる。アプリは未着手だが、日本支社のある開発メーカーから先行して行っていきたい。今後は日本のITベンダーなどからパートナー企業を募り、建設や測量の現場で使い勝手の良いアプリを開発していくつもりだ」と話す。

左からソフトバンクC&S加藤丈晴室長、DroneDeployウインCEOとスコット・ルミスVP=24日、ソフトバンクC&S本社

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