田町駅前で、国内初の配電機器を活用したデジタルサイネージ実証実験デジタルサイネージ

東京電力とパナソニックが東京都港区のJR田町駅前の歩道上で、配電地上機器を利用したデジタルサイネージを設置し、2018年4月4日に実証実験を開始した。2019年3月までの実験期間中に、歩行者への影響、放映内容、費用対効果などを検証する。

» 2018年04月05日 06時00分 公開
[石原忍BUILT]

 東京電力パワーグリッドと東電タウンプランニング(以下、東電PG)、パナソニック、パナソニック システムソリューションズ ジャパンは2018年4月4日、東京都港区の協力を得て、JR田町駅前の歩道上で、国内初となる配電地上機器を利用したデジタルサイネージの実証実験をスタートさせた。

 実証実験は2019年3月まで行われ、デジタルサイネージは田町駅東口の大通りに既設されている配電地上機器の上部に新設した。配電地上機器は、電柱地中化に伴い、変圧器や開閉器といった配電機器を格納した電気設備。設置場所や電源が容易に確保でき、道路の堀削・舗装工事が不要なため工期も3日程度で済むというメリットがある。同様の実験は上野恩賜公園内でも実施中だが、歩道上で道路占有許可の特例として行うのは国内初の試みとなる。

4日に点灯された配電地上機器のデジタルサイネージ

 設置されたモニターには、区の区政情報や広報番組、地域イベントなどの動画・画像を3分間のローテーションで午前5時から翌午前0時まで放映。緊急時には、日・英・中・韓の4カ国語で、警報や注意報をリアルタイムで配信する。民間企業の広告は、都の屋外広告物条例の規制にあたるため、実験期間中に流すことはないが、今後の検討材料にはあるという。

中国語表記の光化学スモッグ注意報

 実証実験では、歩行者に対する支障や車道からの横断者の見え方、さらにモニター下部に備え付けられたセンサーで視認者の性別・年齢などを判定し、どのコンテンツがどの層に見られているかといったことも検証する。

 導入されたデジタルサイネージは、東電PGとパナソニックが、この実証実験のために開発した「ストリートサイネージ(R)」。モニター部分は47インチで、配電機器を含めると全体のサイズは(H)2400×(W)1300mm。歩道上での運用を考慮し、上野公園内の筐体よりも幅をスリム化させている。パナソニックでは、全国で進んでいる無電柱化の流れを鑑みて、東京電力と共同で、全国的に配電地上機器を利用したデジタルサイネージの設置を進めたいとしている。

 また、港区では、街づくり支援部の担当者によると、「将来的に区内で4カ所の設置を検討している。今回は実証実験ということもあり、筐体と工事費を民間側に拠出してもらった形だが、今後は区で予算化していく必要がある。費用対効果も含めた検証結果を2018年の秋口をめどにまとめ、方向性を固めたい」とコメントしている。

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