スターツ総合研究所が機械学習モデルを用い、賃貸住宅の事業・建築計画の作成を自動化できるシステムを開発。宅建資格取得者レベルの知識さえあれば、約15分で計画の策定が行えるという。
スターツグループのシンクタンクであるスターツ総合研究所は、AI(人工知能)技術を活用して賃貸住宅の事業・建築計画の作成を自動化するWebサービス「LAPLACE(ラプラス)」を開発したと発表した。同グループが持つ建築・不動産事業の蓄積データを活用したもので、事業計画地に対して建設可能な賃貸住宅の概算や、建設後の事業収支計画などを短時間で試算できる。2018年5月をからグループ内で利用を開始し、同年12月をめどに社外にも提供する計画だ。
一般に、土地所有者や不動産投資家が賃貸住宅の建築・事業計画を立てる場合、計画地の情報入手や行政による調査、設計の依頼、建築費の概算、資金計画の試算など、複数の手順を踏む必要がある。スターツコーポレーション 新規事業推進室の光田祐介氏は「現状、こうした建築・事業計画の策定には一週間程度の時間が必要」と話す。
今回スターツ総合研究所が開発したラプラスは、こうした賃貸住宅の建築・事業計画の作成を効率化することを目的としたサービスだ。宅建資格取得者レベルの知識さえあれば、約15分で計画の策定が行えるという。
ラプラスはWebブラウザ上から操作を行う。まず、表示される地図から、計画地を選択。選んだ土地の条件に合わせて建ぺい率や容積率が自動で計算され、これらの制約条件の中で建設可能な建物のプランが簡易な3Dモデルと2次元の図面で表示される。プランは、住戸数を優先するパターンや、容積消化率を優先するものなど、複数の中から検討可能だ。
なお、作成する簡易3Dモデルや図面は、Excel、DXF、IFCファイルなどで出力でき、CADやBIMソフトと連携できるようにしている。
プランを選択すると、建設費用の概算とともに、資金計画や賃料収入の見込み、長期の修繕計画なども自動で作成される。こうした土地に合わせたプランの作成や、費用の概算、賃料の予測などに機械学習モデルを活用している。建設費用の概算については、「誤差5%以内を目標に開発を進めている」(光田氏)という。
現状、ラプラスで建築・事業計画を作成できる建築構造はRC造のみで、対象エリアは東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県の一都三県。今後、対応する構造の種類や対象エリアは拡大する可能性もあるとしている。
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