大林組とKDDI、NECなどは5Gを活用したICT施工の実現に向けて、建設機械による遠隔施工の実証実験を行う。「建設機械の無人化」「リアルタイム遠隔施工」などの実現を目指すという。
大林組は2017年5月、5Gを活用したICT施工の実現に向けて、建設機械による遠隔施工の実証実験をKDDIとNECと共同で行うと発表した。既存の通信では難しい大容量な高精細映像の低遅延伝送を実現し、遠隔施工の作業性や品質の向上を検証するという。
実証実験では建設機械遠隔操作システムに、5Gに対応した無線機器を組み合わせて検証を行う。建設機械に高精細4Kカメラを複数台取り付け、その映像を28GHz帯対応の超多素子アンテナ(NEC製)によるビームフォーミングを活用して、伝送する流れだ。
超多素子アンテナは、多数のアンテナ素子をマトリクス上に配置して制御を行い、利用環境に適したビームを複数形成する。それぞれ独立してデータを送受信することで、高周波帯での長距離通信と通信容量の向上を実現する。2017年2月のNECのリリースによると、LTEと比較して通信セル当たり15倍以上のスループットを達成可能だ。
こうした5Gの特長を生かし、3社は2017年度末まで実証実験を行う。将来的には「建設機械の無人化」「リアルタイム遠隔施工」などの実現を目指すとした。
「地震や台風、局地的な大雨などによる災害復旧現場では危険を伴う作業が多いため、建設機械を遠隔操作する無人化施工システムを導入することで、現場作業員の安全確保や環境改善を進めている。今後、同システムに高度な5Gを導入することで、遠隔操作の精度を高め、高品質な施工の実現を目指していきたい」(大林組)
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