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BIMとセンサーで進化するビル管理、3D化で既設ビルにも可能性FM(2/2 ページ)

» 2016年12月16日 06時00分 公開
[陰山遼将BUILT]
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データのない建物を3D化

 最近ではこうしたファシリティマネジメント(FM)にBIMデータを活用する動きに注目が集まっている。NTTファシリティーズは2014年に完成した同社の「新大橋ビル」において、竹中工務店、日本アイ・ビー・エムと共同で、設計・施工段階からFMへのBIM活用を目指した入れたプロジェクトを実施するなど、BIMとFMの連携に取り組んでいる。

 一方国内では、このように建設時にBIMデータを作成していない、あるいは2Dの図面しか残っていない建物の方が圧倒的に多い。そこでNTTファシリティーズでは、構造計画研究所と共同で、実証的に既設建築物の屋内を3Dデータ化する取り組みも進めているという。

 同じく「第1回 スマートビルディングEXPO」に出展した構造計画研究所は、同社ブースでこの3Dデータ化サービスを展示していた。同社が2015年10月から提携しているドイツのNavVis社のサービスを利用した、屋内の3Dデータ化サービスだ。6つのカメラと3つのレーザスキャナを搭載した「M3 Trolly」という装置を作業員が手で押しながら屋内を歩くことで、高解像度パノラマ写真と3D点群データ(形式は3D point Cloud)を作成。これらを統合・処理して、屋内を3Dデータ化する(図4)。

図4「M3 Trolly」(クリックで拡大)

 作成した3Dデータは、任意の2点間の距離を計測することもできる。作成した3Dデータをデータベースとし利用し、位置情報サービスを提供することも可能だ。ビーコンなどを取り付けなくても、位置情報を活用したサービスの提供に活用できる。1日で2〜5万平方メートルの計測が可能で、料金は1平方メートル当たり約5円が目安になる。計測したデータは最短で翌日にWebブラウザで閲覧できるかたちで提供できるという。

 作成した3Dデータは、任意の地点に動画やPDF、URLなどのさまざまなデータを追加することもできる。必要な情報を付与することで、設備管理などにも活用できる。大塚家具が公開している同社新宿店の内部をWebブラウザ上から閲覧できる「バーチャルショールーム」など、複数の採用実績があり、こうした商業施設の他、工場などからの引き合いも多いという。

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