産業用ドローンを展開するプロドローンは、社会インフラ検査市場向けに水平面でも垂直面で壁面調査が可能な、自走式張り付き型ドローンを開発した。
インフラの老朽化に伴い検査、維持、補修などが必要な道路や橋梁、トンネルなどは増加している。国土交通省によると、全国約70万の橋梁のうち、7割以上となる約50万橋が市町村道にあり、建設後50年を経過した橋梁(2メートル以上)の割合が2023年までに43%に増加するという(図1)。
これらの状況から、インフラ検査の必要性は高まっている。一方で、橋梁など高さがある建築物の検査などについては、専用の車両や装備が必要になるため負担が大きかった。こうした状況を解決すべくドローンの活用に期待が寄せられている状況がある。
ただ橋梁検査においては、強烈な突風が吹くなど、独特の環境下での作業となることが多く、通常のドローンがホバリングによって検査する場合に十分にできない場合があった。これらの課題を解決すべく開発されたのが、2016年4月に発表した、負圧を利用し検査対象物に直接張り付きながら天井面を自走するプロドローンのインフラ検査専用ドローン「PD4-Cl」である。
今回新たに開発された「PD6-Cl-L」はこの「PD4-Cl」の機能をさらに強化し、天井面(水平面)の検査に加えて、壁面(垂直面)の張り付き検査も同じ機体で実現できるようにしたもの。これにより橋梁検査のみならず一般建築物の壁面検査などにも幅広く利用できるようになるという。
新製品の最大速度は検査時で時速5キロメートル、飛行時で時速20キロメートル。継続飛行可能時間は10分で、飛行可能気圧高度は3000メートルだという。機体重量は6キログラムで2キログラムのものを運ぶことができる(図2)。
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