ビル全体を15%省エネ、中小規模オフィスのZEB化に貢献する輻射空調技術省エネ機器

清水建設は、建築物のZEB化に有効な空調技術として、省エネ性と快適性に優れる輻射の効果を生かした、中小規模オフィス向けの天井輻射空調システムを開発した。

» 2016年02月24日 13時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 清水建設が新たに開発した中小規模オフィス向けの天井輻射空調システム「S−ラジシステム ライト」は、天井内部に設置した冷却装置で生成した冷気の自然対流を利用し、冷気で冷却された天井面からの輻射効果と、有孔天井パネルから染み出す冷気で室内空調を行うハイブリッド型の輻射空調システムである。

 建築物省エネ法が2016年4月に施工される他、オフィスビルのZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化への取り組みが加速する中、建物の省エネ化技術には大きな注目が集まっている。一般的なオフィスビルの消費電力の内で、大きなものが空調と照明であり、2つをあわせると6〜7割に達する。これらの省エネ化はオフィス全体のエネルギー削減にも大きく貢献する。

本社ビルに輻射空調システムを採用

 清水建設では、2012年に完成した本社ビルに、天井パネルの裏側に冷温水管を設置する天井輻射パネル方式の空調システム「S−ラジシステム」を初適用し、輻射空調の技術開発を進めてきた。今回開発した「S−ラジシステム・ライト」は、さらに同技術を中小規模オフィスにも導入しやすいローコストな輻射空調システムとして開発したものである。

 輻射空調システムは天井パネル内に輻射パネルを敷き詰めて、熱の授受を行うことによる空調を実現するが、輻射パネルの設置にはコストがかかる。「S−ラジシステム・ライト」は、天井輻射パネル方式とは異なり、天井内部の冷却装置(チルドビーム)で生成した冷気の自然対流を利用して天井面を冷却し、かつ、天井面の金属製有孔パネルから室内側へ染み出す冷気も併せて空調に利用する輻射空調システムである。

 チルドビームは空気冷却コイルの一種で、16度程度の冷水を通水することにより、周辺の空気を冷却し、20度程度の冷気を生成するもの。同システムでは、チルドビームを天井面積30〜50平方メートルに1台の割合で配置することで、中小規模のオフィスに対応できる最大60ワット/平方メートル程度の冷房能力を実現する(図1)。

photo 図1 「S−ラジシステム・ライト」のシステム概念図 出典:清水建設

 同システムは、送風機などの空気搬送動力が不要なため、一般的な対流式の空調システムと比べて消費エネルギーを大幅に低減できる。また、室内の空気の流れによる不快感がないため室内環境の快適性が高まるメリットもある。冷却コイルに必要な冷水温度が一般的な空調方式(7度)よりも高い(16度程度)ため、冷凍機などの熱源消費エネルギーも削減可能だ。さらに冷水の生成に井水や地中熱などの自然エネルギーを利用することで、消費エネルギーのさらなる削減効果も見込めるという。これらにより、「S−ラジシステム・ライト」を通常の空調システムに代えて採用するだけで、ビル全体で15%程度の消費エネルギー削減効果を期待できるという。

 コスト面に関しては、冷却部を天井面から分離・集約化したことで、天井輻射パネル方式と比べ、ローコスト化を実現。一般的なセントラル空調方式に代えて本システムを採用した場合の追加コストは、建設費全体の2%程度にとどまるとしている。清水建設では今後、中小規模オフィスのZEB化にも貢献する技術として、提案していく方針だ。

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