1棟のビル全体をトランクルーム専用にして事業を展開するキュラーズは、運営するビルすべてにBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)を導入している。ビルの入退室管理と連動させて照明やエレベータを制御することができるようになり、電力使用量を平均30%も削減した。
国土が狭い日本、特に大都市のマンションやアパートでは、家の中に荷物を収納しきれないケースが多くある。そんな時に便利なのがトランクルームだ。屋内型のトランクルームで最大手のキュラーズは、東京をはじめ全国45か所でトランクルーム専用ビルを運営している(図1)。
キュラーズの特徴はビルを自社で所有して、コンピュータシステムによる管理を徹底している点にある。1日24時間、年間365日を通じて温度や湿度を最適に制御することにより、トランクルームに収納した荷物をカビやダニなどから守る。このシステムがBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)の機能を果たし、空調や照明の電力使用量を削減することができる。
採用したBEMSはシュナイダーエレクトリック社の「Continuum」である。ビル内の空調や照明、電源システムを制御できるほかに、ICカードを使った入退出管理が可能だ(図2)。カードリーダーが照明やエレベータとも連動して、無人で設備を制御できるようになっている。
キュラーズがシュナイダーエレクトリックのBEMSを初めて導入したのは2007年のことで、現在では45か所のトランクルーム専用ビルすべてをBEMSで管理している(図3)。導入費用は新築のビルで1か所あたり600万円、古いビルだと約2倍のコストがかかるという。それでも電気料金の削減などで3年以内に回収できる。
今後も1年に数か所ずつトランクルーム専用ビルを増やす計画で、電力使用量の削減率をさらに引き上げていく方針だ。
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