富士通はビルや工場、店舗などを対象にしたエネルギー管理システムを6月末から提供する。企業が複数の拠点のエネルギーを一元的に管理できるように、電力データをクラウドネットワークで収集して、使用量の分析や機器の遠隔制御を可能にする。
政府による総額300億円の補助金を活用できるBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)の取り組みが活発になってきた。BEMSアグリゲータに認定された21社の中で、クラウドネットワークを使った大規模なサービスを富士通が開始する(図1)。これまで「Fujitsu BEMS」として補助金の対象製品に登録していたもので、正式名称を「Enetune(エネチューン)」として6月末から提供する。
最大の特徴はパブリック型のクラウドネットワークを使って、全国各地に分散するビルや工場、店舗などの電力使用量を一元的に管理できる点である。電力使用量をグラフで「見える化」する機能をはじめ、複数の拠点における利用状況の集計や比較、ピーク電力の予測、空調や照明などの自動制御などが可能になる(図2)。ピーク電力の予測には、富士通研究所が開発した独自の需要予測技術を利用する。
サービスの利用料は1つの拠点あたり月額3万円からである。ただし利用料は補助金の対象にはならない。補助金の対象になるのは、企業が見える化のために導入する電力データの収集装置や電気機器の制御装置に限られる。富士通はBEMSアグリゲータとして、富士電機などのパートナー企業と組んで装置の導入や補助金の申請も請け負う。BEMSに必要な装置の初期導入費は制御できる空調の数が1つの場合で工事費を含めて150万円程度になり、実現する機能によって2分の1か3分の1の補助金を受けることができる。
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