日水コンとキャンベル・サイエンティフィック・ジャパンは、下水道管に起因する道路陥没の予兆を検知するシステムを共同開発した。地中深部のセンサーで圧力変化を計測し、空洞の成長を捉え、管渠改修が完了するまでの暫定的な安全を確保する。
建設コンサルタントの日水コンとキャンベル・サイエンティフィック・ジャパンは2026年9月7日、下水道管渠に起因して道路陥没につながる恐れのある空洞の発生や成長を検知する「道路陥没予兆検知システム」を共同開発したと発表した。両社は本システムと製造方法に関する特許を共同で出願(特願2026-039634)している。
2025年1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を契機に、下水道管渠に起因する道路陥没事故の防止が社会課題となっている。
事故を受けて、国土交通省が主導した全国特別重点調査では、「緊急度1(1年以内に対策が必要)」や「緊急度2(5年以内に対策が必要)」に該当する箇所が数多く見つかった。しかし、管渠改修には調査や設計、予算措置、発注手続きなどで一定の期間を要する。そのため、緊急度1の箇所でも国が求める対応が困難なケースがあり、改修が完了するまでの暫定的な安全確保策の確立が必要とされていた。
今回の開発で、日水コンは道路陥没メカニズムに基づく計測箇所の設定やセンサーの設置、施工方法の検討、土層実験、クラウド側の監視システムの構築を担った。CSJは、バイブレーティングワイヤ方式センサーと独自の信号変換技術を用いた変換器を提供し、計測と通信システムの構築、現場側データ収集と通信装置の開発を担当した。
本システムは、レーダー波が届かない地中深部にある下水道管渠に対し、管渠近傍の地中に設置した圧力センサーで土圧や間隙水圧の変化を常時計測する。管渠への土砂流入に伴って拡大しながら上方の地表へ向かって移動する空洞が、センサーの設置位置(管渠の上方1から2メートル程度)に到達した際に生じる圧力変化を捉え、道路陥没につながる空洞の発生や成長を的確に検知する仕組み。センサーの設置位置や管渠の埋設深さ、損傷状況によっては、地表面が陥没する前の段階で早期に空洞を検知できる。
システムの特長として、地表面からの調査が困難な深部でも圧力変化を確実に捉える点に加え、ノイズの影響を抑える「バイブレーティングワイヤ(振動弦)方式」の圧力センサーを採用。弦の張力変化による振動周波数変化を計測し、センサー検出部と変換器の間が長距離に及んでも安定した計測を実現する。
さらに、計測データは地上の歩道上などに設置した変換器や通信機器を介して、LTE通信でクラウドへ無線送信する。各種装置は太陽光発電と蓄電池を組み合わせた独立電源で稼働し、クラウド上で予兆検知アラートや計測値のトレンド、機器の死活監視などを遠隔で一元管理する。
本システムは管渠改修までの補完的な監視を目的としており、道路陥没の発生を確定的に予測や防止するものではない。計測結果を踏まえた点検や通行規制の判断は、現地の状況に応じて道路管理者や下水道管理者が行う。
土木研究所内での土層実験では、空洞の成長に伴う圧力変化をセンサーで計測できることを既に確認している。
両社は今後、実験成果を踏まえて道路で実証し、地下水変動や地震発生時でのセンサー挙動を確認する。同時に、空洞調査の貫入試験を活用するなど、施工コストをさらに低減する施工方法も検討する。
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