飛島建設は、工事現場に構築したIPネットワークを基軸に、各種ネットワーク機器やデバイスを組み合わせ、トンネル坑内の人や重機の位置/稼働状況、施工サイクルを一元管理する「トンネル坑内可視化システム」を開発した。
飛島建設は2026年8月20日、工事現場に構築したIPネットワークを活用し、トンネル坑内の人や重機の位置/稼働状況、施工サイクルを一元管理する「トンネル坑内可視化システム」を開発したと発表した。
新システムを、自社が施工する山岳トンネル工事現場に導入して有効性を検証した結果、GNSSによる位置把握や通信環境の確保が難しいトンネル工事現場でも、データ連携の自動化と人/建設機械の稼働状況把握による工程の最適化や予実管理に有効であることを確認した。
トンネル工事などの地下空間や屋内空間では、GNSS衛星からの電波を受信できず、人や重機の位置把握が難しかった。また、Bluetooth Low Energy(BLE)などの省電力無線通信技術を利用した位置管理システムが実用化されているものの、専用ビーコンの携帯や適切な管理に加え、専用受信機を設置してトンネルの進行に伴って増設/延伸する必要があり、機器と運用のコストが課題だった。
さらに、山岳トンネル工事の坑内ネットワークは、Wi-Fiの電波到達距離がアクセスポイント(AP)から数十メートルと短い。発破による飛石で機器が損傷する可能性がある切羽近傍へのAP常設は困難で、切羽周辺で作業する職員/作業員や重機はインターネットの利用が難しかった。
こうした課題に対し、飛島建設は既設の坑内ネットワークを基軸に、各種ネットワーク機器やデバイスを組み合わせたトンネル坑内可視化システムを開発した。
システムは汎用ネットワーク機器、約1キロの長距離通信性能と高い回折性を備えるIEEE 802.11ah(Wi-Fi HaLow)機器、サーバで構成する。
職員の位置把握には、職員が所持するスマートフォンの接続情報を利用する。汎用ルーターを用いる方法では、端末が参加しているネットワークを検知し、「トンネル坑内」「仮設ヤード」「現場事務所」などのエリア単位で大局的な位置を把握する。より詳細な位置把握には汎用APを利用する。端末が接続しているAPを検知することで、APの設置間隔となる約100メートルの分解能で位置把握が可能。
重機の稼働状況は、Wi-Fi HaLowの親機と子機による長距離無線通信で検知する。親機は坑内APと無線ブリッジ接続することでインターネットに接続。さらにボックスに内蔵した加速度センサーで発破も検知する。
1台の親機に複数の子機を接続できるため、複数の重機をまとめて管理できる。障害物が多い環境でも通信可能で、アンテナの設置自由度も高い。IP互換性を有しているため既存のIPネットワークとシームレスに統合し、重機に搭載したネットワークカメラの映像配信や重機稼働データの収集にも利用できる。
また、トンネル掘削の進行に伴ってWi-Fi HaLow機器が移動して接続を切り替えるため、従来必要だった機器の移設作業が不要になる。従来は通信環境の確保が難しかった切羽付近でも、低コストでインターネット接続環境を確保できるとしている。
各種情報はダッシュボード上で可視化。現場状況を網羅的かつ時系列で把握でき、作業の効率化やトラブルの早期発見に活用可能だ。場所やデバイスを問わず表示でき、可視化した情報を記録して分析や教育にも利用できる。
システムは汎用ネットワーク機器やオープンソースソフトウェアを活用して構築している。特定ベンダーのシステムやサービスに依存せず、将来の機能追加やシステム拡張にも柔軟に対応する。
飛島建設は今後、新システムを山岳トンネル工事現場へ適用拡大するとともに、現場データの蓄積や追加機能の拡充を進める。データドリブンな施工管理プラットフォームへ発展させ、施工管理業務の効率化/高度化と工事現場の安全性向上を目指す。
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