100種超の地図で現場を可視化、はんぽさきの地図アプリ 通信圏外でも道路巡視や災害対応を支援メンテナンス・レジリエンス2026(2/3 ページ)

» 2026年08月20日 18時33分 公開
[加藤泰朗BUILT]

国や自治体、自前の地図にも対応

 ブースの展示動画では、LivMapの主な機能として「メンバーの現在地を知る」「軌跡から、いつどこにいたかを知る」「地点にログを残して状態を管理する」「地図を選ぶ」の画面を映していた。

移動軌跡の表示画面。通過した地点と時刻を地図上で確認できる 移動軌跡の表示画面。通過した地点と時刻を地図上で確認できる

 選べる背景地図の豊富さは、LivMapの大きな特長となっている。はんぽさきは「紙の地図をなくす」ことを目標の一つに掲げ、一般的な道路地図に加え、国や自治体などがオンラインで公開する森林計画図、地形図、ハザードマップなど、100種類以上の背景地図を標準で搭載している。はんぽさきによれば、「オンラインで公開されている主要な地図は、おおむね収録している」という。

 さらに利用者が保有する道路網図や管路図など、長年業務で使い込んできた独自の地図も、GISチームがLivMap用の背景地図に整備する。公開地図とオリジナルの業務地図は、スマホ上でシームレスに切り替えられる。

背景地図の選択画面。各地の森林計画図や立体地形図などが並ぶ 背景地図の選択画面。各地の森林計画図や立体地形図などが並ぶ

 あらかじめ地図を端末に保存しておけば、携帯電話の通信圏外でも地図を閲覧し、自分の現在地を確認できる。圏外で撮影した写真や地点メモ、移動軌跡も端末に記録し、通信が回復した後にワークスペース内で共有する。オンライン接続を前提とするWeb地図やGISサービスは、通信が途切れると地図を閲覧できなくなる。通信環境が不安定な海上で使うアプリを開発してきた経験が、山間部や災害現場でも業務を継続できる設計に生きている。

道路巡視や除雪対応の状況を地図上で可視化

 導入事例としては、自治体の道路管理や除雪作業で既に活用されている。

 北海道滝川市では、市職員と市内の土木事業者が道路巡視を分担。従来は巡視結果を口頭や紙の日報で共有していたため、誰がどの道路を確認したのかを把握しにくく、巡視の重複や抜けが生じることもあった。住民から寄せられた道路損傷などの通報もExcelで管理し、現地確認や対応指示は電話やメッセージで行っていた。

 LivMap導入後は、職員や土木事業者が巡視時に位置情報を共有し、巡視ルートを軌跡として記録している。滝川市では、幹線道路を週1回以上、生活道路を月1回以上巡視する基準を設けており、指定した期間の軌跡を地図上に表示することで、未巡視区間を一目で確認できるようになった。

道路や河川の管理、除雪、水道管理の導入事例を紹介するパネル 道路や河川の管理、除雪、水道管理の導入事例を紹介するパネル

 また、住民から通報が入ると、庁舎側の担当者がPC版LivMapに地点を登録し、現場に近い職員へ対応を指示するようにした。現地の職員は写真や状況を同じ地点に記録し、対応状況も更新する。職員と土木事業者が巡視履歴や対応状況を同じ地図で確認できるようになり、電話やメッセージによるやりとりが減った他、担当者間のサポートや引き継ぎもスムーズになる成果が得られた。

滝川市の道路管理で使うLivMapの画面。巡視ルートの軌跡と、道路上の写真や地点メモを一つの地図上に表示している 滝川市の道路管理で使うLivMapの画面。巡視ルートの軌跡と、道路上の写真や地点メモを一つの地図上に表示している

 北海道の倶知安町では、道路損傷や除雪に関する住民からの通報対応にLivMapを活用している。担当者が通報地点を地図上に登録し、現場に近い職員へ確認を指示。現地の写真や状況、対応の進捗を同じ地図上で共有することで、電話やLINE、口頭で行っていた情報共有を効率化した。数時間かかっていた通報対応や修繕管理は平均30分ほどに短縮し、対応人員も半減した。

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