インフラDX大賞受賞の地方建設業でもできる「遠隔施工」、奈良のゼネコンが独自装置とStarlinkで実現第8回 国際 建設・測量展(2/3 ページ)

» 2026年08月07日 20時18分 公開
[加藤泰朗BUILT]

安全確保へ、計画段階から遠隔施工を導入

 初めての遠隔施工から約3年後の2020年、中和コンストラクションは同じ栗平川湛水池周辺の現場で、再び遠隔施工に挑んだ。最大高低差60メートルの崩壊斜面から不安定な土砂を掘削し、湛水池まで運搬する必要があったためだ。

 課題は2つあった。1つは、強雨によって地盤が緩み、地滑りや土砂崩れが再発する可能性が高いこと。もう1つは、危険性の高い箇所で作業することで、オペレーターに心理的ストレスが掛かり、操作ミスや事故につながる恐れがあることだ。

 そこで、快適かつ心理的ストレスも抑えるべく、操作室や映像環境を整備した。現場ではバックホー2台とキャリアダンプ3台の計5台に、後付け可能な汎用遠隔操作装置「サロゲート」を設置。建機には360度カメラや前方カメラを取り付け、遠隔操作室では前方映像、俯瞰映像、現場全体の映像を確認できるようにした。操作には、通常の操作感に近いレバー型コントローラーを採用し、現場と遠隔操作室はローカル4Gで結んだ。

遠隔施工に用いた建機の構成。バックホーには3台の前方カメラを設置し、オペレーターの視認性向上を図った 遠隔施工に用いた建機の構成。バックホーには3台の前方カメラを設置し、オペレーターの視認性向上を図った
遠隔操作室の構成。建機のコックピットに近い視線で操作できるように、映像環境を構築 遠隔操作室の構成。建機のコックピットに近い視線で操作できるように、映像環境を構築

 さらに、約1カ月間のトレーニングを実施し、施工効率を検証した。トレーニング初期は搭乗操作に比べて遠隔施工では作業時間が約1.3倍かかり、施工効率は約75%に低下した。その後、カメラ位置やモニター視野角の調整、距離感を把握するためにモニターへテープを貼る工夫などを重ね、作業効率を約90%まで改善した。

トレーニング結果を踏まえ、カメラ位置やモニターの視野角を調整し、作業効率の向上を図った トレーニング結果を踏まえ、カメラ位置やモニターの視野角を調整し、作業効率の向上を図った

 実施工では、掘削作業で約85%、法面整形で約67%の施工効率となった。大浦氏は「掘削は十分な成果だが、法面整形といった複雑な操作には、まだ改善の余地がある」と話した。

遠隔施工の結果。掘削作業では約85%、法面整形では約67%の施工効率となった 遠隔施工の結果。掘削作業では約85%、法面整形では約67%の施工効率となった

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