鴻池組は、大阪府岸和田市の「西日本メカトロニクスセンター事務所棟」を鉄骨と木造の混構造で建て替える。脱炭素化とBCP強化を見据え、独自開発の環境配慮型コンクリートや3Dプリンタ工法を導入する計画だ。
鴻池組は、大阪府岸和田市の「西日本メカトロニクスセンター事務所棟」の建て替え計画を発表した。新事務所は、鉄骨と木造を組み合わせた「混構造」を採用し、中高層木造建築への実証検証を兼ねたモデル施設として機能する。
近年、センターではICTや無人化施工技術の進化に伴い、他部署と連携した研究案件が急増し、既存事務所の機能が限界を迎えていた。さらに、従業員や協力会社向けの安全教育ニーズも高まり、施設を多目的に活用する整備を急務としていた。
建設業で生産年齢人口の減少と人材不足が深刻化する中、鴻池組は「また当社の現場で働きたい」と労働者が思える環境構築が不可欠と認識。そのため、新事務所では、快適な執務環境や多様で柔軟な働き方を実現し、インクルーシブな環境づくり、充実した福利厚生、健康経営の推進を通じて、物心両面で幸せを感じられる職場を目指す。
新事務所の目玉の一つが、自然を感じさせる「バイオフィリックデザイン」の実装だ。柱や梁(はり)、一部の仕上げ材に木質材料をふんだんに取り入れ、快適な空間を創出する。一部の壁や天井には保有技術の「木質吸音板」を採用し、室内の吸音性を高めて執務室としての機能性にも配慮する。
環境性能の面では、LED照明や人感センサーによる省エネ、高効率空調と全熱交換器による快適性確保、そして太陽光発電による創エネを推進する。こうした最新サステナビリティー技術を集約し、BELSの「星6つ」やZEB認定の取得を見込む。
また、最新建材や工法も採用し、現場適用に向けて検証する。このうち、環境配慮型コンクリート「Kcrete A」は、高炉スラグ微粉末を混合してコンクリート由来のCO2排出量を最大約60%削減する「CELBIC」技術をプレキャスト製品に応用し、2026年4月17日付で技術性能証明を取得した。
CLT壁では、中高層木造建築への展開を見据え、1階の鉄骨フレーム内に耐震壁としてCLT壁を配置し、従来工法との納まりや施工性を確認する。さらに木質耐火性能の検証では、シェルターからOEM供給を受ける木質耐火部材「鴻耐火Wood(コウタイカウッド)」、石膏ボードによるメンブレン被覆を採り入れ、中高層木造建築に必須の耐火要件をテストする。
外構階段の構築には、3Dプリンタ工法を用いる。過去の台風被害で、約2週間の停電と3日間の断水を経験した教訓を生かし、新事務所では非常用発電機やAED、簡易食糧の配備に加え、既存のEV充電器からの電力供給機能を整備する。他にも、太陽光発電を利用して電気自動車を充電する夜間対応の仕組み、飲料水(10Lの容器を10個)を確保したウオーターサーバを設置し、災害時の対応能力を大幅に強化する。災害発生時には、地域の避難場所として施設を開放することも可能にする。
カーボンニュートラルの観点から木材利用が進み、中高層木造ビルのプロジェクトは増加傾向にある。鴻池組は、実証モデルを通じて、木造/鉄骨ハイブリッド構造での部材のマッチングや耐火性能の確保、CLT壁の施工性に関する知見を習得し、将来の設計・施工へとダイレクトに活用する考えだ。
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