大林組は2025年9月29日、大阪府発注のシールドトンネル工事において、CO2を貯留する「CN裏込め注入材」を実工事に初適用した。
大林組は2025年9月29日、大阪府発注の「寝屋川流域下水道 門真寝屋川(二)増補幹線外(第1工区)下水管渠築造工事」で、CO2を貯留する「CN(カーボンニュートラル)裏込め注入材」を実工事に初適用したと発表した。
一般的な裏込め注入材をCN裏込め注入材に置き換えたことで、セグメント1リング当たりのCO2排出量は従来の83.03キロからマイナス4.07キロに減少し、約105%の削減効果が得られた。
CN裏込め注入材は、シールドトンネル工事におけるセグメントと地山の空隙に充てんする裏込め注入材に、炭素が固定化されたバイオ炭を混合した材料。従来と同等の品質を保ちながら、CO2排出量を実質ゼロ以下に抑えることが可能。
今回、シールドトンネル工事の一部区間に、実工事で初めてCN裏込め注入材を適用した。バイオ炭とベントナイト系材料をあらかじめ混合したプレミックス品を用いたことで、従来と同等の設備、サイクルでの施工を可能とした。作泥時のバイオ炭の飛散や混練性不良もなく、プレミックス品としても所定の品質を確保。プラントから切羽への配管圧送時に、分離や沈降が生じないことも確認した。
裏込め注入材の目標管理値は、1時間後の一軸圧縮強度が0.04N/平方ミリメートル以上、フローが400±100ミリ、ゲルタイムが15秒以内、ブリーディングが5%以下となる。CN裏込め注入材の試験結果では、全ての項目で目標管理値を達成した。
大林組は今回の成果を踏まえ、CN裏込め注入材を今後のシールドトンネル工事で積極的に提案していく方針だ。
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