東洋建設はクレーン操作のみで消波ブロックの据付作業を行える装置「Atlas Bucket」を開発した。従来必要だった船上作業員による玉掛けや潜水士による玉外し作業が不要となり、作業効率が30%以上向上した。
東洋建設は2025年5月19日、消波ブロック据付作業をワイヤによる玉掛け/玉外しなしで行えるブロック把持装置「Atlas Bucket(アトラスバケット)」を開発したと発表した。クレーン操作のみで据付が可能となり、船上作業員や潜水士の作業が不要になる。
Atlas Bucketは、起重機船のクレーンワイヤの操作のみでバケットシェルを開閉する機械式機構を採用。バケットシェルは2本のノーマルシェルと1本の二股シェルで構成され、合計4本の把持爪で消波ブロックを確実につかむ。
従来の消波ブロック玉掛け方法「斜め吊り」の姿勢での把持が可能なことに加え、二股シェルの傾倒アタッチメントを使用すると、つかんだブロックの重心が自動でずれて反転するため、多層積みの天端面据付で用いられる玉掛け方法「チョウチョ吊り」の姿勢での把持も行える。
陸上での実証実験では、ブロックの落下や破損もなく、従来の玉掛け/玉外しを伴う据付作業に比べて作業効率が30%以上向上(設計基準比)することを確認した。
東洋建設は現在、起重機船のGNSSとクレーンデータ、水中ソナーの計測データを活用し、水中の据付作業状況をデジタルツインでモニター上に再現して可視化する無人化技術も開発中だ。このシステムとAtlas Bucketを併用することで、潜水士の指示を省力化し、オペレーターが自ら水中の消波ブロック据付状況を把握しながら、据付操作が可能になる。
東洋建設は今後も改良や新規開発を進め、全てのブロック据付作業での無人化技術の確立を目指す。
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