別子銅山の木を1000本使用した万博パビリオン「住友館」公開 森をめぐる冒険で「いのちの物語」を体験大阪・関西万博(2/4 ページ)

» 2025年04月07日 09時22分 公開
[松永弥生BUILT]

約1000本の植林した木を使用

 1970年の大阪万博では住友パビリオンを建設した際に、別子の山から伐採した木を用いた。その後、植林した木々が立派に育ち、今回のパビリオン建築に約1000本が使用されている。

 伐採した木は、大根のカツラ剥(む)きの要領でムダなく板材とした。それでも残る芯の部分は、パビリオン外に設置されたベンチに活用している。木材として使えないところは精製してアロマオイルを制作するなど、工夫を重ねたそうだ。まさに“一本の木を余すことなく使い切る”サステナブル建築の実践例となっている。

最後に残った木材の芯を活用したベンチ 最後に残った木材の芯を活用したベンチ

 「55年前に植えた苗が今や立派に成長し、その木を今回切り出して再び万博へ――。こうした時間のリレーこそ、住友館のコンセプトを象徴するものだ」と中村氏は語った。

住友 EXPO2025 推進委員会 委員長 中村邦晴氏 住友 EXPO2025 推進委員会 委員長 中村邦晴氏 写真は全て筆者撮影

【住友館「UNKOWN FOREST」建築概要】

 名称:住友館

 建設地:大阪府大阪市此花区夢洲(大阪・関西万博会場内)

 施主:住友EXPO2025推進委員会

 総合プロデューサー:内藤純

 運営会社:電通ライブ

 ■設計監理

 設計者/基本設計:電通ライブ、日建設計

 設計者/実施設計:電通ライブ、三井住友建設一級建築士事務所

 監理者:電通ライブ

 ■施工

 施工者/建設工事:三井住友建設・住友林業特別共同企業体

 施工者/設備工事:住友電設

 施工者/展示工事:電通ライブ、乃村工藝社

 ■構造/規模

 構造:鉄骨造一部木造

 敷地面積:3568.19平方メートル

 建築面積:約2100平方メートル

 延べ床面積:2717.72平方メートル

 使用木材:スギやヒノキといった約1000本の木々

住友館のアテンダントの皆さん 住友館のアテンダントの皆さん

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.