東急電鉄は、鉄道施設の点検や検査に四足歩行ロボットを導入する技術検証を開始する。Boston Dynamicsの四足歩行ロボット「Spot」を用い、変電所の電気設備のメーター読み取り業務などを進める。
東急電鉄は2025年2月21日、鉄道施設の点検や検査にBoston Dynamics製の四足歩行ロボット「Spot」を導入した技術検証を開始すると発表した。
検証は、検査員が行っている電気設備や車両搭載機器の点検や検査を対象に、ロボット搭載の各種カメラやセンサーを用いて機器設備の状態を把握し、点検や検査の高度化と効率化を図る目的で行う。
まずは「元住吉」駅周辺の変電所と車庫に導入。定期検査で実施している変電所の電気設備のメーター読み取りをSpotが撮影した画像から正しく読み取れるかを検査員が確認する。
また、目視で実施している各設備の外観検査などもサーモグラフィーカメラで数値化し、定量的な評価による検査結果への変更が可能かを検証する。ガス漏れ検査でもSpotに搭載している超音波カメラ(音響モニター)で、ガス漏れ位置を可視化して評価する。
元住吉駅周辺の車庫で実施している検査では、撮影した画像から車両搭載機器の取り付け状況や摩耗状況の把握で実用性を確かめる。
Spotは他のロボットよりも走破性に優れ、鉄道施設内のさまざまな場所の検査に応じられる。各種センサーやカメラを備え、さらに高機能な機器も追加できる柔軟性がある。細部を確認可能な画像や映像データ、数値化したデータを取得するため、高精度な検査につながることが期待される。導入に際しては技術面も含め、Spot販売代理店の東北エンタープライズがサポートした。
東急電鉄は、2024年3月25日に東急が公表した中期3カ年経営計画に合わせ、2024-2026年度中期事業戦略を策定した。その中の戦略の2つ目で、「運営高度化と業界連携強化」を掲げ、鉄道事業の点検や検査の高度化と効率化を推進すべく、今回ロボットを導入することとなった。
2026年度以降は、Spot導入対象の業務の検証エリアをグループ会社も含めて拡大していく。技術はAI画像解析システムを採り入れ、数値化や検査表への自動入力も見据え、点検や検査で得たデータをシステムに蓄積していき点検時期や頻度の適正化に役立てる。
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