千葉県東金市、DeepForest Technologies、NTT東日本 南関東は、ドローン空撮画像とAI解析技術を活用した保安林の森林調査を実施。樹木単位での詳細なデジタルデータベースを構築した。
DeepForest Technologiesは2025年3月4日、東金市、NTT東日本 南関東 千葉事業部と共同で、ドローン空撮画像とAI解析技術を活用した東金市保安林の森林調査を実施したと発表した。調査では、立ち入り困難な地域を含め広範囲な撮影を1日で完了し、樹種識別、樹高など樹木単位での詳細なデジタルデータベースを構築した。
今回の取り組みは、東金市保安林の森林管理効率化と森林整備方針の検討などを目的に実施した。東金市は1975〜1998年に行われた大規模宅地開発に伴い保安林の移管を受け、約18ヘクタールを所有している。従来は市職員による現地調査が中心で、多くの人員や時間がかかっていた。
また、近年、全国的に大雨や地震による災害が頻発/激甚化する中、保安林の防災機能強化が課題となっている。東金市の保安林は設置から30年以上経過しており、隣地越境やサンブスギの溝腐病、倒木などにより、近隣住宅や公共インフラ設備などに影響を与えるリスクが想定される。
今回の取り組みでは2024年9月6日に調査を実施、10月21日にかけて分析を行った。4800万画素カメラを搭載し、遠方からの高精細な画像が取得可能なドローン「ANAFI‐Ai」を使用。空撮画像をもとに森林情報解析ソフトウェア「DF Scanner」で、樹木の検出、樹種識別、樹高/胸高直径/幹材積の推定を、各樹木単位で一元的に解析した。
解析の結果、画像判読から保安林の隣地越境判断ができた一方、サンブスギの溝腐病や、土砂崩れ、倒木被害状況は判読ができなかった。今回の調査範囲では写真で判読できる大きな土砂崩れはなく、小規模な土砂崩れについては判読が困難だったという。
東金市は今回構築したデータベースを今後の森林整備方針を検討に活用する。また、適正な維持管理を継続しながら、森林クレジットなど新たな収入源の創出可能性の検討、市民へ向けた森林整備に関する普及啓発にもつなげる。
DeepForest TechnologiesとNTT東日本 南関東は、今回の取り組みで得た知見を他の自治体へも展開し、国内における持続可能な森林管理/保全に貢献する。
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