大成建設グループの新研究施設開設 次世代舗装技術開発へ909mの「舗装評価路」整備産業動向

大成建設と大成ロテックは、次世代舗装技術の開発や環境課題解決に資する取り組みの実証評価を目的に、グループの新研究施設を開設した。

» 2025年02月13日 12時00分 公開
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 大成建設と大成ロテックは2025年2月5日、次世代舗装技術の開発と環境課題解決に向けた取り組みの実証評価を行う新研究施設を、福島県田村市に開設したと発表した。2024年12月に完成した「舗装評価路」を中核とし、今後は「自然共生型管理棟」と「ネイチャーポジティブ実証フィールド」を段階的に整備する。

施設の全景 施設の全景 出典:大成建設プレスリリース

 新研究施設は、約14.4ヘクタールの敷地に、舗装評価路、施設運営の拠点となる自然共生型管理棟と、舗装評価路の内側と外周部の造成地に整備するネイチャーポジティブ実証フィールドから成る。

 舗装評価路は、大成ロテックと田村市が締結した企業立地に関する基本協定に基づき整備した。直線区間100メートル2本を含む1周909メートルの実証路では、レベル4相当の自動運転荷重車両5台を、最高時速40キロ、昼夜問わずで走行させることが可能。耐久性の評価にかかる時間を大幅に短縮する。

 また、新たな舗装用材料や構造の耐久性評価、理論設計方法の検証に加え、材料の力学試験結果から舗装の耐久性を予測する手法の確立に向けた実証実験も行う。道路舗装の耐久性向上により、建設から維持管理までのライフサイクルにおけるCO2排出量削減が期待できる。

 2026年度の供用開始を目指す自然共生型管理棟は、水資源を持続的に活用する「ゼロウオータービル」として整備する。木造2階建て、延べ床面積585平方メートルの建物には地産製材を積極的に利用。建物の主要構造部材には、一般流通材を使用した大スパン構造を採用し、木架構の汎用化技術を検証する。

 舗装評価路の内側と外周部の造成地では、生物多様性の保全に向けた長期実証を開始。国内で減少が進む半自然草原や湿地の再生/管理手法を確立する。緑化に用いる植物は遺伝的なかく乱を避けるため、全て田村市周辺から種子を採取し、植栽から手掛ける。舗装評価路外周部では、地域の種苗による樹木の特性に配慮した質の高い自然の森の早期創出につなげる。

自然共生型管理棟の外観 自然共生型管理棟の外観 出典:大成建設プレスリリース

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