大和ハウスなど大手住宅3社、都市緑化で生物多様性保全の相乗効果を確認生物多様性

大和ハウス工業、積水ハウス、旭化成ホームズの3社は、シンク・ネイチャーの分析により、都市部での3社連携による生物多様性保全活動の実効性と相乗効果を実証した。各社が特有のコンセプトに基づき在来樹種の都市緑化を進めてきたことで、個社単独による取り組みと比較して、生物多様性の豊かさが向上していることが分かった。

» 2024年09月12日 15時00分 公開
[BUILT]

 大和ハウス工業、積水ハウス、旭化成ホームズの3社は2024年9月4日、シンク・ネイチャーの分析により、都市部での3社連携による生物多様性保全活動の実効性とシナジー(相乗効果)を実証したと発表した。各社が特有のコンセプトに基づき在来樹種の都市緑化を進めてきたことで、個社単独による取り組みと比較して、生物多様性の豊かさが向上していることが分かった。3社によると、住宅メーカーが共同で生物多様性保全活動を評価するのは、今回が初めて。

 生物多様性の回復を目指す「ネーチャーポジティブ」実現に向けた取り組みにおいてシナジーが明示されたことを受け、3社は今後、より多くの企業や団体に働きかけ、住宅/不動産業界全体でのネーチャーポジティブ実現に向けた取り組みを拡大する。

大和ハウス工業、積水ハウス、旭化成ホームズによる共同実証 大和ハウス工業、積水ハウス、旭化成ホームズによる共同実証  出典:大和ハウス工業プレスリリース

3社が植えた樹木は年間約350種、約43万本

 3社は今回、首都圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)にある樹木本数と樹種のデータを可視化し、統合することで、都市における生物多様性保全活動の効果を分析した。3社が植栽した樹木は年間で43万本にのぼった。それぞれが異なる樹種を植えたことで樹木種は年間約350種だった。

 生物多様性評価の指標の1つで、種数の多さや種の均等性の高さを示す「個体数に関する種の順位曲線」により3社の統合データを表現すると、個社のグラフと比較して緩やかな傾きとなった。多様な種が共存し、植栽樹種の多様性が豊かなことを示している。

 3社はそれぞれ特有のコンセプトで、在来樹種に着目した植栽を行っている。大和ハウス工業では、保有する不動産の50%以上に在来種を植栽する「みどりをつなごう!」をコンセプトに、住宅地だけでなく周辺地域でも生物の生息環境再生などに取り組んでいる。積水ハウスでは、生態系に配慮し地域の気候風土にあった在来樹種を中心に植栽する「5本の樹」計画を展開し、生き物のエサ資源も提供。旭化成ホームズでは、都市で小さな森の創出を目指す「まちもり」の取り組みで、鳥などの隠れる場所や空間が重要になる生きものの生息地を提供している。

 分析を行ったシンク・ネイチャーは、3社が異なるコンセプトで在来樹種に着目した植栽提案に取り組んだ結果、生物多様性の多面的な要素を効果的に再生するシナジー効果が生まれたと指摘。ネーチャーポジティブの実現に向けた共創の可能性を示した。

3社による首都圏の植栽分布図(左)、植栽樹種の種個体数データに基づいた植栽樹種の順位曲線(右) 3社による首都圏の植栽分布図(左)、植栽樹種の種個体数データに基づいた植栽樹種の順位曲線(右) 出典:大和ハウス工業プレスリリース

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