経済産業省 中小企業庁は、受注側中小企業の立場で価格交渉のしやすさや価格転嫁の現状についての評価を公開し、一条工務店とタマホーム、エディオンが価格交渉のしやすさについて最低評価となった。
経済産業省 中小企業庁(以下、中小企業庁)は2024年8月2日、中小企業が原材料費やエネルギー価格、労務費などの上昇分を、発注側企業に適切に価格転嫁をしやすい環境整備のために実施している「価格交渉促進月間」の2024年3月分のフォローアップ調査の結果を発表した。受注側中小企業の立場で価格交渉のしやすさや価格転嫁の現状についての評価を社名ごとに公開し、一条工務店、タマホーム、エディオンが最低評価を受けた。
中小企業庁では、原材料価格やエネルギー価格などが上昇する中、中小企業が適切に価格交渉や価格転嫁できる環境を整備するために2021年9月から毎年3月と9月を「価格交渉促進月間」と設定し、価格交渉と価格転嫁についての広報や講習会などを実施している。その成果を確認するために、価格交渉と価格転嫁の対応状況について、中小企業からアンケート調査と下請けGメンによるヒアリングを実施している。
2024年8月2日に公開されたのは、2024年3月に行われた価格交渉促進月間におけるフォローアップ調査において、10社以上の受注側中小企業から「主要な取引先」として挙げられた発注側企業290社について、「回答企業数」(中小企業から主要な取引先企業だと指定された数)、受注側中小企業からの「価格交渉の回答状況」「価格転嫁の回答状況」について整理してリスト化したものだ。「価格交渉」と「価格転換」の回答状況については、受注側中小企業からの回答を点数化し、発注側企業における自発的な取引慣行の改善がなされることを目的としている。
「価格交渉」についての点数はまず「交渉が行われたかどうか」がポイントとなり、「行われた」場合は、発注企業から「申し入れがあった」場合は10点、「申し入れがなかった」場合は8点となっている。
一方、最終的に「価格交渉が行われなかった」場合では、「申し入れがあった」事案でも「コストが上昇せず、交渉は不要と判断し、申し入れを(受注側中小企業が)辞退した」ケースと「コストが上昇したが、交渉は不要と判断し、申し入れを(受注側中小企業が)辞退した」ケースは10点とされるが、「コストが上昇したが、発注量減少や取引停止を恐れ、申し入れを辞退した」ケースは5点と判断されている。
さらに「申し入れがなかった」事案では「コストが上昇したが、発注量減少や取引停止を恐れ、交渉を申し出なかった」ケースは−5点、「コストが上昇し、交渉を申し出たが、応じてもらえなかった」ケースは−10点と厳しい評価となっている。
「価格転嫁」については、そのまま「1割転嫁」で1点、「2割転嫁」で2点と設定され、費用が上昇している中で減額された場合は−3点という基準が設定されている。
この2つの点数の平均値を以下のような形で分類し、対象企業をリスト化した。
その結果、「価格交渉」に対する評価が「エ」となったのは、一条工務店、タマホーム、エディオンの3社となった。「エ」は回答の平均点数が0点未満であるため、取引をしている中小企業がこの3社に対し、「コストが上昇したが、発注量減少や取引停止を恐れ、交渉を申し出なかった」か「コストが上昇し、交渉を申し出たが、応じてもらえなかった」と感じているということを示している。
3社とも「価格転嫁」については、「ウ」という評価となっており、価格据え置きか、3割までの価格転嫁には応じていることにはなるが、今回の調査では価格転嫁において「エ」の評価はなかったため、こちらも最低評価となっている。
ちなみに「価格交渉」「価格転嫁」においてどちらも最高となる「ア」の評価を受けた企業は、鹿島道路、小松製作所(コマツ)、日本工営、応用地質、デンカ、パナソニック コネクト、日立造船、KOKUSAI ELECTRIC、オリエンタルコンサルタンツ、いすゞ自動車、淀川ヒューテック、朝日航洋、住友電装の13社だった。
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