清水建設、北海道猿払村、甲子化学工業などが参加する「猿払村HOTATETRAPODプロジェクト」は、テトラポッドに使用する砂の半分をホタテ貝殻に置き換えたブルーカーボンテトラポッド「HOTATETRAPOD」を発表した。
清水建設は2024年7月19日、北海道猿払村、甲子化学工業などと推進する「猿払村HOTATETRAPOD(ホタテトラポッド)プロジェクト」において、テトラポッドに使用する砂の半分をホタテ貝殻に置き換えたブルーカーボンテトラポッド「HOTATETRAPOD」を発表した。2024年度以降は、北海道オホーツク地方の海岸にHOTATETRAPODを設置をするための体制作りを推進する。
HOTATETRAPODは、生物模倣(バイオミミクリー)の考えに基づいて、ホタテ貝殻から着想を得たリブ構造をデザインに採用して海藻が付着しやすくした。魚介類の餌場になる他、海中の炭素を吸収するブルーカーボンを増大させる。
なお、HOTATETRAPODは、2024年7月20〜21日に猿払村で開催した「第50回さるふつ観光まつり」で披露した。なお、展示用の台座についても、清水建設が開発した3Dプリント材料「ラクツム」の砂代替材料として、廃棄貝殻を1立方メートル当たり100キロ使用したモルタルを材料としている。
HOTATETRAPODは、テトラポッドを開発する不動テトラと、シェルコンクリートの開発/港湾構造物への適用実積を持つ日本国土開発、猿払村の廃棄貝殻を活用したヘルメット「HOTAMET(ホタメット)」を開発した実績がある甲子化学工業などのノウハウを生かし、開発に着手した。
プロジェクトチームには、清水建設、北海道猿払村、猿払村漁業協同組合、ササキ、甲子化学工業、不動テトラ、日本国土開発、TBWA HAKUHODOが参加している。プロジェクトにおけるメンバー企業の役割は以下の通り。
砂はコンクリートの製造や住宅、道路、インフラ整備など幅広い用途で使用されているが、砂を掘り出すことで、海岸などの侵食や塩害、高潮対策の喪失を引き起こす可能性がある他、生物や環境への影響も危惧されている。
一方、猿払村の位置する宗谷地区では、ホタテを加工した後の貝殻が水産廃棄物として年間約4万トン発生している。ホタテ貝殻の主成分である炭酸カルシウムはコンクリートとの相性も良く、砂程度の粒径に粉砕した「シェルサンド」は砂の代替素材として活用できる。
猿払村では2023年度実績で年間2480トンの消波ブロックを製造/設置し、コンクリートの細骨材として、約862トンの砂を消費している。50%をシェルサンドに置換することで、猿払村だけでも年間431トンの砂を削減可能だ。また、貝殻を使用することで、微粉末効果による初期水和の促進に加え、炭酸カルシウムと各種カルシウムアルミネートとの反応による初期強度の向上がみられるという。
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