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» 2020年03月10日 09時00分 公開

兵庫県と神戸市が国際航業やKDDIと全国初、“レベル3”のドローン飛行で森林調査

兵庫県と神戸市は、全国の自治体で初となる無人地帯での補助者のいない目視外飛行「レベル3」で、森林資源量の調査を行った。

[BUILT]

 日本アジアグループ傘下の国際航業はKDDIと合同で、兵庫県と神戸市が連携して進めている「ドローン先行的利活用事業」の一環で、地方自治体としては全国初の「レベル3」(無人地帯での補助者なし目視外飛行)による森林資源量調査を2020年2月に、兵庫県宍粟市一宮町で行った。

70キロ離れた現場のドローンを遠隔操縦

 調査では、KDDIがレベル3のドローン調査と撮影、国際航業がレベル2の検証及び全取得データの分析/解析を担当した。撮影したドローン画像をもとに、過去の航空測量データとの差分処理で、伐採区画などを抽出して、ドローンを用いた空撮調査の優位性やレベル3での遠隔地調査の効果を検証した。地上とドローンの通信には、通常使用される2.4GHz帯や5GHz帯の周波数電波よりも、一般的にカバーエリアが広く、通信速度や安定性が高いLTE電波を利用した。LTEの上空利用にあたっては、KDDIが総務省から実用化試験局の免許を取得した。

 具体的な実験では、宍粟市一宮町染河内地区の公民館駐車場からドローンを離陸させ、森林上をジグザグに飛行して空撮した後、駐車場へと帰着。ドローンの操縦は、約70キロ離れた場所にある神戸市内の兵庫県庁で遠隔操作した。飛行時間は、飛行1回あたり約20分。

完全自動化の前段階にあたるレベル3

 ドローンの飛行レベル3とは、経済産業省が公表した「空の産業革命に向けたロードマップ」で、山や河川、海水域、森林などの無人地帯を対象にした補助者無しの目視外飛行を指す。実現すれば、少人数での遠隔地への飛行が可能になり、業務効率化にもつながることから、今後のドローン活用拡大の重要なステップになるとされている。

 全国的にもレベル3の事例はまだ少なく、その多くが物流分野での実証実験にとどまっており、森林資源量調査では本件が自治体として初の試みになるという。

「空の産業革命に向けたロードマップ」 出典:小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会

 実施自治体の兵庫県では、神戸市との連携のもと、次世代産業の創出、県民のさらなる安全・安心な暮らし、行政サービス向上の3つの目的で、2019年度からドローン先行的利活用事業に着手。テーマごとに企画提案を公募し、選定された民間企業やNPO法人などとともに実証実験を行ってきた。

 これまでに、空輸や空撮で訓練状況の把握、スピーカー搭載機で上空から避難誘導といった防災訓練をはじめ、海岸からテトラポッドの崩れ点検、レーザー測量で土砂崩れ箇所の把握などを行ってきた。今後のテーマとしては、グリーンレーザー計測での河川内外の地形調査、高画質可視光カメラやレーザー計測で治山ダムの変形やひび割れ点検、過去の航空測量データとの差分処理による積雪量の調査などを予定している。

 また、国際航業では、2019年11月にドローン事業推進プロジェクトをスタートさせ、測量/インフラ点検分野でのドローン利活用を促進。2022年度には、「レベル4」(有人地帯での目視外飛行)の解禁が政府によって閣議決定されたことで、測量やインフラ点検での利活用を見込んでいる。

 これからは、日本アジアグループが有限責任組合員(LP)として参画するドローン特化型のベンチャーキャピタル「Drone Fund」の投資先A.L.I. Technologiesなどとの連携を強化し、最先端テクノロジーを用いたサービスを提供していくとしている。

テーマ 場所 概要(検証内容)
鳥獣対策 丹波市など 赤外線センサーなどによる野生鳥獣の生息状況調査、捕獲支援手法の提案・試行
土砂災害対策調査・倒木リスク調査 神戸市 土砂災害危険箇所や災害時の被害状況などの実態調査、倒木危険度の実態調査
観光用動画・静止画撮影 県内約17箇所 県内のスポーツアクティビティー(神戸マラソンなど)、観光地や特徴的な建築物などの写真・動画の撮影
森林資源量調査(レベル3飛行で一部業務を実施) 宍粟市 レーザ計測などによる森林資源調査、過去の航空測量データとの差分処理による伐採区域などの抽出。また、業務の一部を、補助者なし目視外飛行(レベル3飛行)により実施。
治山施設及び施設周辺地形などの健全度調査 神戸市、淡路市 高画質可視光カメラやレーザ計測などを行い、治山ダムなどの変形やひび割れを点検
河川現況調査 赤穂市、相生市 グリーンレーザ計測により河川内外の地形などを調査
冬期通行不能区間の道路積雪状況及び道路施設の被災状況など調査 香美町 写真測量を行い、過去の航空測量データとの差分処理により積雪量を調査
ニホンジカの生息状況調査 神戸市 赤外線カメラなどによる広範囲の空撮を行い、シカの生息状況を調査
ドローン先行的利活用事業の検証テーマ(実施中、今後実施するもの) 出典:兵庫県

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